2006年1月29日
USA クラシック ガットギター フィンガーピッキング
'76年にカーネギーホールでデビューコンサートを飾った Giovanni De Chiaro は、ちょっと毛色の変わったクラシックギタリストだ。20世紀初頭のラグタイム作曲家・ピアニスト Scott Joplin の作品を、数多くギター編曲して発表していること。他には結婚式音楽のギター編曲集なんてものも手がけていること。故ヨハネ・パウロ二世(そういえば彼の名前もイタリア系っぽい)やクリントン元大統領ら世界的要人に招かれて演奏会を催してもいる。さらには NASA から依嘱を受けて、スペースシャトル用(?)ギター曲の制作を行ったりしている。マスコミへの露出度も高く、Guitar Magazine 誌での執筆や楽譜出版も多数。日本でならさしずめお茶の間ギタリストといった感じなのかも知れないが、演奏力は確かだし、クラシックギタリストとしての分はギリギリわきまえていると思える。びっくり箱みたいなこのギタリスト、私は好きだなぁ。ミシシッピ大で教鞭を執りながら、現在もエネルギッシュに活動中。
'90年、偉大なるラグタイマー Scott Joplin のギター編曲集。この試みは後にシリーズ化されて現在第4集までがリリースされている。「The Entertainer」で始まり、「The Maple Leaf Rag」で幕を閉じるという直球ど真ん中な構成もナイス。Joplin ナンバーは、ブルーズギタリスト達がよく各々のアレンジで演奏しているが、高度なピアノ曲をそのままギターに移すのは困難なので、省略やデフォルメを施したプレイとなることが多い。そんな中、クラシックギタリスト Giovanni De Chiaro の演奏は流石に原曲に忠実で安定度もピカいち。
現在でも Scott Joplin の演奏は、ロール紙に穿たれたものをオートピアノで再生して聴くことができるが、ダイナミクスが記録されていないので、ラグタイム・イコール・一本調子、という印象が出来上がっている。そんなところに、クラシック風に強弱を施したこのギター演奏を聴くと、当時 Joplin がどんな風にプレイしていたのか想像が広がる。テンポにまでクラシック的に緩急を付けてしまったのは、好き嫌いが分かれるところかも知れないが... 尚、このシリーズは米 Mel Bay 社から楽譜出版されている模様なので、腕に覚えのある方はチャレンジされてみては。
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