プレイリスト

【追悼】1970年代の中川イサトを聴く

2022年4月16日

去る4月7日、中川イサト氏が亡くなった。フォークシーンを中心に日本のポップス黎明期の屋台骨を支えつつ、国内のアコースティックギター・インストゥルメンタル界を牽引した大きな存在だった。1980年頃までは米ルーツ音楽をバックボーンに、1980年代からはアレックス・デ・グラッシやマイケル・ヘッジスらニューエイジ・ギタリストらから影響を受けたニューエイジ、そして1990年代後半からはピーター・フィンガー主…

アルバム紹介

クラシックなロックとギター

2022年2月3日

Spotify を散策していて、クラシックギタリストによる面白いロック・カバー・アルバムを見つけたので紹介してみたい。「クラシカル・ロック(Classical Rock)」という直球タイトルなこのアルバム、奏者はジョン・スヴォボダ(John Svoboda)という米国在住のギタリスト。どうやらカンザスでギター教室を営みながら活動しているらしい。Spotify にあるアルバムの内容からはセミ・クラシ…

プレイリスト

十片(とおひら)の雲 - 「ヌアージュ」10選

2022年1月26日

去る1月23日に生誕112年を迎えたジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)。彼の代表曲「ヌアージュ(Nuages)」は様々なギタリストが演奏しているけれど、それらから10曲を集めてプレイリストを組んでみた。雲を意味するこの曲、ジャンゴがラヴェルやドビュッシー等の所謂フランス印象派を念頭に作曲したと言われており、ティピカルなジプシースウィングの数々とは雰囲気がずいぶん異なっている…

アルバム紹介

「ブラザー・サン シスター・ムーン」をもう一度

2022年1月22日

先日、NHK-BS でかかっていたドキュメンタリー映画「ビートルズとインド」を観ていて、そういやビートルズのインド行きってドノヴァン(Donovan)も同行してたなーと思い出したり。それをきっかけに、ドノヴァンが2004年にリリースしたこのアルバムについて書いてみる。ドノヴァンといえばビートルズと同時期にデビュー・活躍したロンドンの SSW。フォーク畑からのデビューだったけど、1960年代後半はド…

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ラリー・コリエルの2つのボレロ

2022年1月6日

お正月は記事のことは考えずにマターリとアコギ音楽に揺蕩うつもりだったのだけど、ラリー・コリエル(Larry Coryell)の「ボレロ(Boléro)」というアルバムを見かけて少し調べることになったので、その事でも。まずコリエルで「ボレロ」と言えば真っ先に思い出すのが、1981年にフィリップスから出た45回転の12インチシングル。ラヴェルの名曲を、無伴奏のオヴェイション一挺で熱く掻き鳴らす印象的な…

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デイヴィー・グレアム 「神の息よ」

2021年12月28日

今日は、「神の息よ(Breathe On Me, Breath Of God)」という19世紀賛美歌のアコースティックギター・インストについて。クリスマスに合わせて公開しようかと思ってたけど、年末進行慌ただしく間に合わなかったwこの曲はデイヴィー・グレアムの1979年アルバム「ダンス・フォー・トゥー・ピープル(Dance For Two People)」というアルバムに収録されている1分半にも満た…

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線上のメリークリスマス - ティコムーン 「クリスマス・アルバム」

2021年12月19日

クリスマスまで一週間ということで、ティコムーンというハープとアコギのデュオによるクリスマスアルバムを紹介。ハープ奏者の吉野友加とギタリストの影山敏彦から成るティコムーンの結成は2001年。以来、10枚程のアルバムリリースを重ねてきており、今回の「クリスマス・アルバム(Christmas Album)」は2005年の3作目。「ジングルベル」「レット・イット・スノウ」「戦場のメリークリスマス」等の定番…

ギタリスト・ピックアップ

「赤とんぼ」から「フィンランディア」へ - 佐藤忍とアダム・レヴィン

2021年12月17日

最近知ったアダム・レヴィン(Adam Levin)という米国の若手(たぶん)クラシックギタリストが、経歴や活動で興味深い点が多かったので紹介してみたい。アダム・レヴィンはシカゴ出身で、ギターはアマチュア奏者の父から教わったとか。その他にもう一人、少年期の彼にギターを手ほどきした人物がいる。佐藤忍という日本人ギター講師である。ルーツ音楽系のアコースティックギターが好きでフライングフィッシュレコード等…

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バーデン再来 - ファビアーノ・ド・ナシメントの衝撃

2021年12月12日

夏頃だったか、Spotify を散策していてファビアーノ・ド・ナシメント(Fabiano Do Nascimento)というブラジルのギタリスト兼作曲家によるアルバムがエラく刺さったのを思い出したので、今年のうちに、とばかりに改めて寸評してみる。ナシメントは1983年生まれで、2015年にこの「ダンサ・ドス・テンポス(Dança dos Tempos)」でソロデビューしている。以降、これまでに延べ…

アルバム紹介

12月8日の夜に

2021年12月8日

フィンガーピッキングスタイルのアコースティックギターを嗜む方々なら、南澤大介という名前は比較的馴染み深いかも。自身も優れたフィンガーピッカーであると同時に、数え切れない程のギター楽譜を執筆してきた人である。有名ギタリストの採譜もさることながら、国内外ポップスからアニメやゲーム音楽まで幅広くギターソロにインポートすることで、ギター演奏者への間口を広げてくれた功績もデカい。そんな彼が5年程前に出した、…

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