2007年9月15日
ブラジル 1957 〜 エスニック サンバ/ショーロ スティール弦ギター 多弦ギター フィンガーピッキング
ブラジル音楽の人気が高まるにつれて最近注目されることが多くなった、ブラジリアン・カントリーミュージックとも言えるセルタネージャ。その定番弦楽器であるヴィオラ・カイピーラの奏者として、今いちばん旬なのが、この人 Roberto Corrêa かもしれない。ミナス生まれで一家は代々ヴィオラ(普通のガットギター)奏者、首都ブラジリアで育ち大学で物理学を学んだというプロフィールからは、現代的なポップミュージックを聴いて育った有能なミュージシャンが、ヴィオラ・カイピーラを手にルーツを探す旅に出たという図が思い浮かぶ。実際、ある意味俗情的な音楽であるセルタネージャであるが、Roberto Corrêa が奏でるそれは何やら貴族的でもあり、純真無垢な輝きを纏っている。
'05年発表の、タイトルもズバリそのまま純度100%のヴィオラ・カイピーラ・ソロ・アルバムである。ジャケットでは大型の5コース10弦の楽器を抱えているが、実際には多種多様な楽器が弾かれてオーバーダブされており、目が眩むほど美しく優美なインストゥルメンタル音楽に仕上がっている。おそらく、Roberto Corrêa の狙いはセルタネージャの再構築ではなく、ヴィオラ・カイピーラという魅力的な撥弦楽器の可能性を極限まで追い求めることだったのではないだろうか。ポルトガルのファドやアラブのウード、メキシコのボレロ、ペルーのフォルクローレ。ラテン圏を中心にした様々な音楽の香りが、Roberto Corrêa の奏でるヴィオラ・カイピーラから漂ってくる。撥弦楽器の響きを愛するリスナーに、手放しで勧めたい秀作である。
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