2005年10月16日
日本 1964-3-10 〜 ロック ガットギター スティール弦ギター
大阪出身のセッション・ギタリストにして、シンガーソングライター(日本の名ギタリストって関西出身が多いなー)。特にセッション・ギタリストとしての実績はもの凄く、これまでサポートしてきたアーティストを挙げたらキリが無いだろう。ところでスタジオミュージシャンについては、いつも思うことがある。アメリカで尊敬されるスタジオミュージシャンは、ある限られた分野で培われた個性を持ちながら抜群の実力を発揮する「専業型」が多いと思われるのに対し、日本ではどんなジャンルだろうとソツなく仕事をこなす「万能型」が重宝されているような気がする。そりゃあ、一人でどんな演奏でも出来た方が便利に思われるだろうし、本人だってその方が沢山の仕事にありつけるのは自明なんだろうけど、ちょっと寂しくないかなぁ? 或るアーティストが頭の中で鳴らしたい音を描きながらレコードを作ろうとしている。沢山の個性あるプレイヤーから「よし、コイツだ。彼以外に考えられないよ!!」てな感じで強者が集められていく。そんな現場を想像すると、ワクワクするけどな。と、この文脈でいうと古川昌義は、確実に最強のユーティリティギタリストである。けど、この人本当は何が好きなんだろうってことも、とても気になる筆者なのであった。
'05年、ソロ第4作目にして待望のフル・インスト・ギターアルバム。彼と親交の深いシンガーソングライター坂本サトルの作品を題材にギターアレンジしたという、ちょっと変わった趣向。アコギとバンド形式のエレキが半々くらいの構成になっており、古川氏の圧倒的なギター演奏力とアレンジャーの才が、様々なスタイルのバリエーション豊かな10曲に生きている。日頃、サポートにおいてはメインアクトの表現を最大限に高める音を出すことが至上の演奏だと語り、文脈から外れたミュージシャンエゴの誇示を嫌う彼だが、ここで主役に廻った彼のギターの雄弁なこと。それでいて緻密で細やか。とくにガットギターのプレイでは、7歳からレッスンを受けていたというクラシックギターの腕前が流石。従来からの彼のファンは勿論、坂本サトルのファンにも楽しめる、幸せなジョイント。
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