2006年6月25日
ブラジル エスニック サンバ/ショーロ ジャズ/フュージョン スティール弦ギター
ブラジルはミナス出身のシンガー・ギタリスト。ギターといっても彼が弾くのは主流のガットギターではなく、ヴィオラ・カイピーラ(「田舎ギター」の意)という鉄弦を張ったやや小型の多弦ギター。弦数は様々にバリエーションがあるが、いずれも複弦コースの高音弦が特徴で、マンドリンの様な音色を持つ。他にヴィオラ・カイピーラを駆るアコギストとしては Almir Sater あたりが有名(こちらはインスト奏者)。
シンガーが本領である Ze Helder のギタープレイは特筆すべきところは少ないが、素朴ながらアイディア満点の曲想を支える、涼しげで愛らしいヴィオラ・カイピーラの響きは一聴の価値あり。
'05年のセカンドアルバム。ミナス特有のプリミティブさを保ちながら、ロック寄りとも言える自由でコンテンポラリーなサウンドが鮮やか。全13曲中、ヴィヴァルディの「四季」からの抜粋である「Largo」と、「Pro Zezinho」、「Fiote」、「O ipe e a Oiticica」の4曲がギターインストで、いずれも山岳音楽の野趣というよりはむしろ優雅でノーブルな趣に満ちていて、古の宮廷音楽のようだ。ブラジル音楽の幅広さと奥深さを知るには絶好のサンプルと言える。