2007年10月22日
USA 1956-7-6 〜 カントリー ジプシースウィング ロック スティール弦ギター フラットピッキング
カントリー好きな音楽ファンにとって、John Jorgenson の名は Desert Rose Band の名ギタリストとして身近なものだったし、その後のギタートリオユニットの Hellecasters でテレキャスターを縦横無尽に駆っての活躍も頼もしいものだった。それだけに、2000年以降に彼がアコースティックギタリストとして、しかもジプシースウィングの世界に身を投じたというニュースは、私も含めてファンには仰天モノだったに違いない。これは彼が映画「Head in The Clouds (邦題 : トリコロールに燃えて)」に、Django 役でチョイ出したことが契機ではあろうが、ここ数年で静かな盛り上がりを見せている「Goodtime Music」なるアコースティック系のムーブメントに照らし合わせてみると、なにやら合点が行くのである。カントリーやブルーグラス系のミュージシャンはおしなべてジャズ好きであり、特にギタリストはテクニシャンであるほどジプシースウィングの祖、Django Reinhardt をアイドルに挙げる者が多い。元々このジャンルが好きだった Jorgenson が、Django 生誕100年を迎えて再評価ブームの兆しをチャンスと捉えたのかもしれない。21世紀に入って新バージョンに変身した John Jorgenson が、次に何をしでかしてくれるのか楽しみだねー。
'04年、驚愕のジプシースウィング・ギター・アルバム。むろん15曲全てがインストで、そのうち3分の2が Jorgenson 自身の作であることから、これが色モノ的な企画じゃないことが伺える。Jorgenson はギターの他にもクラリネットやサックス、ビブラフォン等を奏でて彩りを添えており、長い時間をかけてこのジャンルの音楽を慈しんできたのだろう。このアルバムの華やかさは、Django がアメリカ進出を果たした頃を意識してムードづくりされているような気がするのは考えすぎか? 個人的にはもう少し仄暗さを持ったジプシースウィングが好みなんだが、何にしてもこの完成度は凄い。力作のオリジナル「F.A. Swing」で幕を明け、他でもない Django へのトリビュート「Minor Swing」で幕を閉じる躍動の50分間を、是非体験してもらいたい。
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