2009年8月16日
日本 1982 〜 エレクトロニカ スティール弦ギター
アコースティックギターやピアノ、ピアニカといったアコースティック楽器をマテリアルに、アンビエントなエレクトロニカを創造するミュージシャン。'06年から本格的に活動を開始し、国内外で高い評価を受けつつある。
この種の音楽は、ご存知のように記名性を極力排除するベクトルを内包している。なので、フィジカルな演奏を楽しむ事に慣れきったアコギファンに無闇にお勧めすることはできないが、この音楽家が提供する、ギターというシンプルな楽器の「鳴り」の美しさを極限まで突き詰めた音群は、アナタが何故ギターを好きになったのかという根源的な問いを掘り起こしてくれるかも知れない。子供の頃、まだギターは弾けなかったが、親父から譲り受けたオンボロギターの弦の上にエンピツやら消しゴムを落として、弾き出される色々な音を楽しんだ記憶が蘇った。
'07年、schole records から。レーベルの主催者である小瀬村晶との連名による、コラボレーション。コラボとは言っても、共演しているのは10曲中の2曲で、あとは半々のソロワークスだ。いくつかのナンバーで薄暮のような淡いサウンド・コンクレートにたゆたうギターの爪弾きを味わえるが、特に「Delight」はアコキ度が高くお勧めだ。
Haruka Nakamura のサウンドは、フォークトロニカではよくある、ギターの演奏をズタズタに解体しきって粒子化したような抽象度の高いものではなく、(意味があるのかは別にして)「楽譜にできる」類いのギターである。だから、この種の音楽に不慣れな人でも心地よく音に身を任せることができるだろう。
下にあるアマゾンのアイコンをクリックすると、この CD を購入できます。