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    アコギスト宣言!!

    西村 洋 (にしむら よう)

    2005年4月11日

    日本 クラシック ガットギター フィンガーピッキング

    プロフィール

    栃木県出身のクラシックギタリスト。'72年の東京国際ギターコンクールでの優勝歴を持つ。現在では宇都宮大学で教鞭をとりながら演奏活動を行っており、同郷のギタリストである印南俊昭氏とのギターユニットとしての演奏も。彼のユニークなところはクラシックギターの歴史や特性を整理・理論構築することに並々ならぬ情熱を傾け、演奏も通常であれば有名どころだけがピックアップされるだけのことが多い Fernando Sol (クラシックギターのベートーベンと言われる、古典ギター作曲家の大家)の作品を、系統立てて構成づくりしたアルバム製作を行う等している。こんにち脚光を浴びている若手クラシックギタリストがジャンルの枠を超えたモダンな楽曲をどんどん取り入れて、一般聴衆へのアピールに余念がないといった印象を受けるのを考えると、西村氏の活動はその対極にあると言って良い。正直に言えば私も古典クラシックギターの曲は概ね退屈で、他のクラシック楽器の曲に比べると煌めきに欠けるという考えの俗物だ。しかし彼ほど徹底してアカデミックなバックボーンに裏打ちされたストイックな姿勢を見せつけられると、その演奏がどんなものか興味も沸いてくる。Nothing gonna change my world. 不動の信念って、人を輝かせる。

    アルバムレビュー

    伊福部昭 ギター・リュート作品集

    '85年、ギターアルバムのリリースにも積極的な日本の良心的クラシックレーベル Fontec から、伊福部昭作品集のシリーズの三作目。なにより「ゴジラ」で有名な伊福部昭であるが、ご多分にもれず私も映画音楽以外の作品については何も知らず、ましてやギターの為の作品があるとは知りもしなかった。聞けば彼の作品には「伊福部節」とでもいうべき独特な節回しがあるとのこと。そんなものかな、と思いながらCDをターンテーブルに乗せ、一曲目の「古代日本旋法による踏歌」を聴いて驚いた。「ゴジラだ」。いや、正確にいうとゴジラシリーズの色々なBGMに普遍的に存在する彼独特の世界が、クラシック作品のここに何の隔てもなく色鮮やかに、確かにある。現代作曲家らしからぬ抽象さが希薄な、ある意味古典的な手法で土着日本的なイメージを増幅させて歌い上げる。その骨太で豪快な印象を、誤解を恐れずに言えば「肉体労働者が奏でる幽玄」。なにやら琵琶法師の調べを思いおこさせ、ギターで演奏されるには適している。それを大仰すぎずに抑えて唄わせる西村氏のギターもまた良い。最後のナンバーでは Deborah Minkin 氏がバロックリュートを演奏しているが、これも格別の味わい。

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