2009年8月9日
USA ニューエイジ スティール弦ギター フィンガーピッキング
Larry Pattis は、シカゴ出身の鉄弦フィンガーピッカー。年齢はよくわからないが、おそらく1950年代後半あたりの生まれだろう。よくあるように、音楽好きの一家に育ち、ティーン時代にギターにのめりこみ、セミプロで音楽活動を続けているうちにチャンスに巡り会って... という経歴である。プレイヤーのかたわら、ギターショップ経営やコンサートプロデューサーなども務め、'97年に遅咲きの CD デビューを果たしている。ツアーでの渡欧がきっかけで Pierre Bensusan と親交を結び、しばらくはフランスで彼のアシストなどしていたらしい。帰国後は、El McMeen や Ed Gerhard と、著名ギタリストに認められて親交の輪を広げ、数年毎にアルバムリリースも重ねる等、目下のところ順風満帆なギターライフである。
特別華々しいデビューを飾った訳でもなく、アルバムがベストセラーになった訳でもないが、こんな堅実な歩みを続けるギタリストは、市井のアマチュアギタリストにとっては何とも羨ましく、また希望の存在なのではないだろうか。
'02年発表のセカンドアルバム。全曲オリジナルのアコギインストでガッチリ固めてある、質実剛健な一枚である。Larry Pattis の知名度は日本ではかなり低いが、それはこの質実剛健さ故でもあろう。派手な今風のプレイもしないし、キラーチューンこそ無いものの、どの楽曲も明快でレベルが高く、また演奏も完璧と言って良い技量だ。彼の個性は、アーリー・アメリカンな音楽性をベースにクラシックやジャズのモダンなフレイバーを織り交ぜたものだと思うが、そこにギター仲間 Pierre Bensusan や El McMeen らの影響かケルティック風の郷愁がちりばめられて、いっそう滋味深いものになっている。端正でまぢめな印象だけど、オズの魔法使いのテーマをモチーフにバロックごっこしてみた「Going For Baroque」など、ちょっとお茶目なところも垣間見せる。このアルバム、聴く程に味わいが増す通好みなタイプだけど、リビング・ミュージックとしても最適ではないかな?
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