2004年2月22日
USA 1969 〜 ジャズ/フュージョン ガットギター フィンガーピッキング
メキシコ人の父と日本人の母を持つ、在米の新進アコギスト。兄の影響で幼少より音楽に傾倒し、高校から大学生の時期にクラシックギターを学んだ後、ジャズの語法も身につけている。現在では Quetzal というグループをベースに活動中。
メキシコ系アメリカ人のことをチカーノといい、彼らの文化がブルースやカントリー等と融合して生まれた音楽は TexMex を始めとして、アメリカ音楽の一部を担うものであり、重要な位置を占めている。Ray Sandoval の音楽を聴いて強く感じるのは、おそらく父譲りであろう、そういったアイデンティティを強く持ち続けながら、同時に汎アメリカ的とでもいうべき幅広い音楽性をも獲得している事である。南米のフォルクローレやサンバ、サルサ、そして大西洋を越えて民族的ルーツとも言えるフラメンコやロマミュージック。これらが全て彼の音楽の中に詰まっていて、クラシックで鍛えたしなやかな指先から魅惑のギターミュージックとして放たれるのである。
ラテン的でありながら深慮でもある。さらに余計を言えば東洋的イケメンな Ray Sandoval。これはお奨め。
'99年発表のソロデビューアルバム。ルンバフラメンコ調のギターカッティングにタブラがねっとりと絡んでくる妖しい1曲目「Boda de Sangre」から魅力爆発(^o^)。チック・コリアみたいなピアノがテンションを高めるコンテンポラリージャズ風な2曲目「A la Naturaleza」。一転、アンサンブルを排しユパンキ顔負けの表現力が素晴らしい無伴奏ギターソロの3曲目「Como mi Soledad」。...とまぁ9曲全て、極上のギターミュージックとしか言いようが無いです。脱帽です。ラディカルなもの好きの人にはちょっと甘口かも知れないけれど、それでもこのアーティストの価値は判ってもらえると思う。
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