2004年2月20日
スペイン 1893-2-21 〜 1988-6-2 クラシック ガットギター フィンガーピッキング
Segovia にはしばしば、「路上演奏楽器に過ぎなかったギターの地位をコンサート楽器にまで引き上げた」という賛辞が寄せられる。確かに結果としてアカデミックな世界でギターの地位は上がったのかもしれないが、何だか音楽とは別の所の話というか、正直どーでも良いw そんなことより、彼の指から放たれる一音をしっかりと聴いて欲しいのだよね。弾く姿勢や爪の形にまでこだわり抜いて編み出された、所謂「セゴヴィア・トーン」ってものを。その上で知って欲しい。既成のギター曲に飽き足らず自ら他楽器の名曲を、ギターならではの響きをもった曲に生まれ変わらせた編曲の数々を。現在当たり前に弾かれているギターが、さらなる音量とプレイアビリティを求めて製作者との協業で生み出された彼の「創造」であることを。精力的に世界中を駆け巡ってギターの素晴らしさを知らしめた、コンサートという名の布教活動。さらには「セゴヴィアスクール」として有名な、若手ギタリストの育成までも。こんな、ギターが好きで好きでたまらなくて、この楽器の魅力を世界の隅々まで伝えたいという想いに取り憑かれたひとりの男の戦いを知れば知るほど、地位云々とか些事だなぁと思う訳です。
Segovia の金字塔というと、大バッハの「シャコンヌ」ギター編曲ということになるのかもしれないが、やっぱり彼の真骨頂は「スペイン魂」なんだろうと思う。てな訳でこの、愛情込めて自選されたスペインの曲が沢山入った盤を選びたい。正直、若い頃は「いまさら Segovia でもないっしょ」と新世代ギタリストにばかり興味が向きがちだったし、昔ながらの古典ギター曲もちっとも面白いと思わなかったけど、不変の美ってやつですかねぇ。効いてきましたよ、今になってw 陳腐だけど、クラシック・ギターの出発点であり、終着点。そんな1枚。
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