2004年3月8日
ブラジル 1957-9-26 〜 ボサノバ ガットギター フィンガーピッキング
ブラジルの作曲家・アレンジャー兼ギタリスト(ボッサのギタリストは皆、音楽的素養が広いよなぁ)。小野リサとのコラボレーションで日本では知名度も高いかも。'80年にアルバムデビュー以来、Joyce、Paulo Moura、Ivan Lins、Dorival Caymmi といった著名ミュージシャンと交流を重ねつつ、確実に豊かな実りを結んで来た。
乱暴な言い方をすれば、ボサノバの音楽家は Joim 系と Powel 系に分かれるような気がする。前者は Tom Jobim の様にモダンな音楽的語彙を駆使して、ブラジリアンミュージックをよりポピュラーに洗練させて行こうとする路線。後者は Baden Powel があくまでもルーツとアイデンティティにこだわった様に、常に根元的なものを見失わず先鋭的に発展させて行こうとするタイプ。白人 Mario Adnet は明らかに前者に属する。まさに「中庸の美」というものを常に高品質で提供してくれる優れた音楽家だと思う。反面、ギタリストとしての楽しみは反比例するかのように少なくなる訳だけど。
'99年作。このアルバムは、'97年に発表されたものに手を加えてリミックスしたものとか。タイトルどおり、ガーシュウィン、トム・ジョビンのボサノバ・ソングブックとなっているけど、実は半数近くは自身のオリジナルナンバーで構成されていて、タイトルから印象させられるような安易な音作りでは決してない。大半は多彩なミュージシャンを招いてのコンボ形式ゆえギターはリズムワークに徹している場面が多いが、トップナンバー「I Got Rhythm」のギターソロとラストナンバー「Trote da Raposa」では非凡なギター演奏を聴くことができる。いやー、これだけ弾けるのに一寸勿体ない(^^)。5曲目の「Chorojazz」はバッハみたいな構築美が興味深いし、6曲目「Love is Here to Stay」は女の子(娘?)とのデュエットがなんだか泣けます。ギター目当ての人だって持ってて損は無いアルバムだと思いますよ。
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