2006年7月16日
ブラジル クラシック ガットギター フィンガーピッキング ユニット
高い演奏力と音楽性で、世界最高峰のギターデュオとして君臨する Assad 兄弟。兄 Sergio は1952年、弟 Odair は1956年のサンパウロ生まれで、それぞれ12歳・8歳の時から、父親に勧められてギターを弾き始める。Andrés Segovia 門下生の Monina Tavora にクラシックギターを師事した後、'80年頃からめきめきと頭角を現す。彼らの演奏に惚れ込んでギター曲を献呈した作曲家も少なくない。現代タンゴの巨星 Astor Piazzolla、ミニマルミュージックのカリスマ Terry Riley、ショーロ・クラシックの重鎮 Radames Gnattali、等々。また、Gidon Kremer や 古澤巖 といった他ジャンル・楽器のアーティストとの盛んなコラボレーションも興味深い。現在パリを拠点に活躍中。
'85年、故 Astor Piazzolla が献呈した「タンゴ組曲」を収録したエポックメイキングな名盤。話が逸れるようだが、かつてヤナーチェク室内合奏団を生で聴いた時、バイオリンからチェロまでの各楽器がまるで一台の楽器のように完全に溶け合って鳴っていたことに驚いた。優れたアンサンブルとはこういうものかと思った。しかしこの Assad 兄弟、ここで響きわたっているのは紛れもなく二挺のギターだ。時に寄り添いながら、時に追いかけっこしながら、時にそっぽを向きながら放たれる音には、ギターという楽器同士が向かい合った時に生まれ得る可能性が全て呈示されている。単に息が合っているという次元でなく、優れた個性どうしが対峙した時に生まれる魔法の数々。ギターデュオの定番、Brouwer の「Micro Piezas」や、兄 Sergio 作曲の小品たちも入っているし、 Pascoal の「Bebe」をポピュラー畑のブラジリアンギタリストのプレイと聞き比べるのも楽しい。聴けば聴くほど味がでる、まさに永遠の定番だ。
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