2005年1月30日
USA 1915-9-15 〜 ジャズ/フュージョン スティール弦ギター フラットピッキング
Satchmo、Billie Holiday らが活躍したジャズの古き良き時代を、名セッションギタリストとして盛り立てた黒人ギタリスト。'33年に Fats Waller のグループに参加したのが彼のプロキャリアのスタートとなるが、それ以前はバイオリンやウクレレ奏者としても活躍していたとか。この時代のジャズギタリストの役割は、バンドのリズムセクションの一員としてスクエアにビートを刻むことだった。そんな時代背景もあって、Al Casey のプレイもスウィンギーな魅力には溢れていたものの、リーダーメンとしての活躍の場には恵まれなかった。しばらくの沈黙の後、'60年前後に豪快なエレクトリックギターで復活した彼は、持ち前のグルーヴ感としっとりとした唄心の両面的な魅力でふたたびファンを魅了した。
'60年、Prestige から。なんとデビューも15年以上を経てからの初リーダアルバムである。嬉しいことにこのアルバムでは全編フルアコースティックギターの生音録りによる、時には荒削りなリズムワークが、時にはやや頼りないながらも暖かいセンシティブなリードをとる Al Casey のプレイがたっぷり聴ける。この時代は Jim Hall や Joe Pass という新時代のジャズギターヒーローが羽ばたこうとしていた時代で、リアルタイムで当時の空気を吸いながら彼の音楽に接していたならば、きっと古くさいオールドファッションなものとして忌避していたのかも知れない。けれど幸いなことに50年近くを経た現在の耳を傾けたとき、私は彼の音楽が愛おしくてしょうがない。1曲目「Buck Jumpin'」でたどたどしく入ってくるギターのリフを聴くと「おいおい、この後40分、だいじょーぶなのかよ」なんて思うのだが、アルバムを聴き終えた時にはえもいわれぬ幸福感に包まれている、そんな一枚である。
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