2006年6月18日
イタリア ニューエイジ フラメンコ ガットギター フィンガーピッキング
「なんちゃってフラメンコ」とでもいうのか、フラメンコの雰囲気だけを掠め取ったようなギター音楽がある。その手の音楽はニューエイジ系のレーベルから出ていることが多いので、「ニューエイジ系フラメンコ」でもいいのかも知れないが。タイヤキが形を模しているだけで、基本的に鯛でも何でものないのと同じよーなもんだ、と考えればそれ程イラつくことも無いんだろうが、やはり何かロクでもないという感慨は打ち消せない。
ローマ生まれのギタリスト Gino D'Auri もそんなニューエイジ系フラメンコの文脈で売り出されている一人だが、音を聴いてみると他のイカサマギタリストとは随分違うみたいだ。何でもジプシーの血筋を引いているとかで、当初はクラシックギタリストとして活動していたが、伝説的フラメンコ・バイオール(ダンサー) Jose Greco 出演の映画「君知るや南の国」(原題「Sombrero」)を観てフラメンコに取り憑かれる。その後、移住したロサンジェルスでクラブ演奏などを経て'81年にレコードデビュー。なんと'73年には Paco de Lucia と共演しているそうだ。'80年代には日本人ピアニスト松居慶子のアルバムにも度々参加しているから、やっぱりニューエイジ系には違いないか(^^;)。
'92年発表。タイトルどおり、ふわっとエコーをかけて曲によってはタブラなども導入して妖しいムードを盛り上げているが、ニューエイジ系フラメンコでは定番のリズムセクション入りルンバは影も形も無く、なかなか本格的。曲名に Bulerias、Soleares などと形式を冠しているのも、彼なりの誠実さの表れだろう。どの曲も緩急が豊かで元クラシックギタリストらしく丁寧に弾かれており、欲を言えばもう少しパッションが炸裂して欲しい。とにかく取っ付きやすいし、フラメンコギターの入門盤としてお勧めかもしれない。ただし、シンセストリングが大仰なラストナンバー「アルハンブラの想い出」はレコード会社の意向かしらん。
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