2006年5月28日
ハンガリー 1962 〜 クラシック ガットギター フィンガーピッキング
ヨーロッパを中心に活躍しているハンガリーの中堅クラシックギタリスト。アカデミックな音楽教育を経て、数多くのギター・マスタークラス講師やギターコンクールの審査員を務める等、まさにクラシックギタリストの王道を歩む Eotvos だが、面白いのはレパートリーをショパンやブラームス等の非ギター作曲家に求め、貪欲にギターの面白さを拡大しようとしているところ。特に、J.S.Bach の「ゴールドベルク変奏曲」の大胆なアレンジは賛否両論を巻き起こしながらも、彼の名声を高めることに一役買っている。近代〜現代のギター作曲家よる純正ギター作品とそれに取り組むギタリストには求道的で奥深い小宇宙の如き楽しみがあるが、「雑食性ギター好き」を自認する筆者としてはクラシックの有名曲をギターに移植するポピュリズムも魅力的だ。それぞれ楽しみ方が違うので、今後も惑うことなく清濁合わせて呑みまくり、てとこですかな。
大作曲家 Johannes Brahms の「ハンガリー舞曲集」を自ら全曲ギターアレンジて演奏した、'02年の意欲作。この曲、壮大なオーケストラで聴く機会が多いが、元々はピアノ(連弾)曲。Eotvos がどちらの版をマスターピースにしたのかは知らないが、ジプシー音楽に影響を受けて作られたこの情熱的でエキゾチックな作品はギターに良く合い、違和感なく聴くことが出来る。Jozsef Eotvos は、失礼ながらギタリストとして破格の演奏家と言える程でもないが、そのことが、例えば山下和仁がストラヴィンスキーをバキバキ弾くときに感じる「恐れ」や一種の「呆れ」のような心のざわめきを無縁のものにしている。良く言えば、ホームクラシックのように気楽に安心して楽しめる一枚。Mel Bay 社から楽譜も出版されているよ。