2004年9月23日
USA 1956 〜 ハワイアン スティール弦ギター フィンガーピッキング スラックキー
故 Sonny Chillingworth の直弟子として、'70年代のスラックキーギター復興ムーブメントの頃から師と活動を共にし、現在でもプレイヤーとしてのみならず作曲家・編曲家・指導者として尊敬を集める第一人者である。彼がスラックキーギターに取り憑かれたのは、ハイスクール時代にラジオで聴いた Keola Beamer のギター演奏だったという。それからというもの、Keola Beamer のレコードをすり切れる程聴き、そしてそれにあきたらずハワイ大でギターを学ぶ彼の姿があった。Sonny Chillingworth の元で学び始めたのは'76年であり、ライブやレコーディングで Sonny をサポートしつつ、彼は独自のスタイルを形成していった。師 Sonny がどちらかというと、すこしやさぐれた感じのブルースフィーリング豊かな野趣を特徴としているのに対し、Ozzie Kotani の演奏は穏やかでクラシカルな奏法を多用し、まるでシルクのような感触であるのは面白い。近年ではガットギターも用いることで、彼の表現形態はますます豊かで円熟したものになりつつある。Cyril Pahinui や Moses Kahumoku のような世代の若く弾けるようなプレイとは、また違った魅力を堪能して欲しい。
'02年、Dancing Cat レーベルから。ハワイ王朝の最期を見届けることになった悲劇の女王として、そして「Aloha 'Oe」を代表とする数多くの歌を作曲したことで知られる Lili'uokalani の作品を集めた、有りそうで無い注目すべきコンセプトのスラックキーギターインストアルバム。トップナンバーの「He 'Ai na Kalani」は元気で躍動感あふれるアレンジになっていているが、全体としては哀しさを覚える程美しく優雅なスローナンバーで占められている。Lili'uokalani 女王はインスピレーションに突き動かされるようにとても多くの作品を作ったが、それらの殆どはじゅうぶんに管理保存されることが無かった為に四散してしまい、現在では百数十曲が知られているだけだという(それでもビートルズの公式ナンバーに匹敵する数だが)。原初のハワイアン音楽がアメリカから持ち込まれた賛美歌を雛形としているのは知られているが、何よりハワイ人のアイデンティティ回復を願った彼女の紡いだ歌が、西洋的スピリチュアルな美しさをたたえているのは悲しい皮肉である。ガットギターによるナンバーも二曲あり、細やかで美しいアレンジはハワイアンギターの概念を大きく変えるかも。そうそう、「Aloha 'Oe」もちゃんと収録されてます。
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