2004年5月5日
USA 1944-8-25 〜 ジャズ/フュージョン スティール弦ギター フラットピッキング
数多のジャズギタリスト中でも唯一無二の存在感を誇る、孤高のギタリスト。なんて陳腐に褒めちぎるのはカンタンなようだが、この人の凄さを表現する言葉を私はまだ持ち得ないでいる。超精密かつ正確無比なギターテクニック、途切れることを知らないフレーズの洪水を支えるアイディアの宝庫、ひとところに留まらず常に前進しつづけるエネルギー、などと形容すればその通りなのかも知れないが、何か居心地が悪いというか、決して本質はそんなもんじゃないだろうって思うのだ。
アラブ人の父とイタリア人の母を持ち、'63年にデビュー。登場した頃はビ・バップの流れの中で硬質な音を聴かせていたが、次第に東洋趣味を取り入れた精神世界的広がりを持ったスタイルに変遷している。'80年に脳動脈癌を患って再帰不能と言われるなか、'87年の「The Return」で奇跡のカムバックを果たしている。
...あ、そうだ。Frank Zappa と対比させてみたらうまく表現できるかな。うーん、しかしそれはそれで難しい作業だ...(T_T)
'76年発表の「Joyous Lake」と「Starbright」をカップリングしたリイシュー盤。この2枚は長らく廃盤状態だったが、それは両作品がともにそれまでの作風から一転したフュージョン風の作りになっていたため、熱心なファンからは否定的な評価をもって受け止められていたことと無関係ではないだろう。しかし皮肉なことに、滅多に聴けない Martino のアコギ演奏がこの異色作には収められているのだ(「Starbright」のほう)。タイトル曲の「Starbright」と「Starbright Epilogue」、「Prelude」の3曲がそれ。アルバムコンセプトはバンドの多彩な音色(シンセのシーケンスは今聴いても個性的)を生かして、色彩感のあるポップな曲を詰め込んだ印象のものだけど、「Prelude」はフラメンコ風パッセージが随所に顔を出す6分超の無伴奏ギターソロ!! なかなかの聴き応えである。Martino の代表作として奨められるものではないけれど、こんな側面もあるということで。
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