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    アコギスト宣言!!

    Kieran Murphy (キーラン マーフィー)

    2007年9月24日

    オーストラリア 1988 ニューエイジ スティール弦ギター フィンガーピッキング

    プロフィール

    ここ数年で耳にするようになった、唄と唄の間にボソボソと脱力しまくったラップ風のライムを挟みこんだ、ある種の J-POP。あれって何なんでしょうね? 10年以上前に米国のラップシーンを追いかけながら、どうにか日本語をリズムに乗せようと悪戦苦闘していた頃はまだ理解できたが、その果てに行き着いたのがソレなの? ヒップホップって得物を手にして新しい表現をしたかったんじゃないの? 頭いてー。
    さて、「Tommy Emmanuel が絶賛!!」てなキャッチフレーズで彗星の如く登場したオーストラリアの若きアコースティック・ギタリスト Kieran Murphy は、なるほど評判に違わぬ実力者だ。最近では日本でも、耳を疑うようなテクニックを持った若いギタリストが数多く台頭してきているが、Kieran Murphy の場合、日本では希薄な(悔しいけれど)ルーツミュージックのフレイバーがしっかりと感じられるのがイイ。それが顕著に現れてしまうのがリズム感やグルーヴといった、ポピュラーミュージックの生命線なのだ。こればかりは生まれた時から吸う空気にでも違いがあるのか? と、ギター弾き始めてウン十年未だにリズム音痴でスミマセンな島国生まれオヤジは絶望的な気分になりながら、つい冒頭に書いたような八つ当たり気味の独り言を呟くのだった。頭いてー。

    アルバムレビュー

    Solitaire

    '05年に、ミニアルバムとして発表された9曲入りのデビュー作。録音時、Kieran は16歳だったというが、トップナンバーの爽やかなニューエイジ風「Sassafras Rain」を聴いただけなら、大して不思議にも思わなかったろう。昨今の若手のテクニックはすごいからねぇ。ところが2曲目は、多くの名うてのギタリストがカバーしている Jerry Reed 御大の「Jiffy Jam」なんだが、何? この手練は。10年くらい現場で揉まれて脂が乗り切った三十路ギタリストってふうじゃないか。他にもケルティック風味のナンバーがあったりするが、やはりこの超絶ヤングの背骨・背筋はカントリー方面で鍛えられたと見た。それに、ミュージシャンの懐の深さはカバーで判ると思っているが、スタンダード「Blue Moon」も奇を衒わないセンスの良さが溢れていて素敵だ。圧巻なのはラストの「Flea」。Tommy Emmanuel の向こうを張るグルーヴとスピード感がインプロヴィゼイションに結晶したブギーな逸品。半数以上を埋めるオリジナル作品も非凡な作曲力を示している。

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