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    アコギスト宣言!!

    Xesus Pimentel (シェスス ピメンテル)

    2005年8月28日

    スペイン 1959 〜 エスニック フラメンコ ガットギター

    プロフィール

    「スペイン? ああ、闘牛とフラメンコの国ね」なんてことを言う人が今時いるかどうは知らないが、スペインにさほど興味が無くても日本の1.3倍強の国土と長い歴史を持つこの国には驚く程多種多様な文化が脈打っているってことは容易に想像できるだろう。例えば北西部(ちょうどポルトガルの「上」あたり)に位置するガリシア地方は、アンダルシアやカスティーリャに比べると風土的にも文化的にも異境といって良い程らしい。湿潤で穏やかな気候のこの地には紀元前からケルト系民族が移住・定着していて、現在でもガイタと呼ばれるバグパイプがポピュラー音楽に使われていたりする。Xesus Pimentel はそんなガリシア州出身のフラメンコギタリスト。フラメンコの起源は、アンダルシア地方に移住したジプシーが土着の音楽と自分たちの音楽をミックスさせ発展させて来たものだと言われており、現在のかたちになったのは200年程前とされている。私が見聞きしただけでも Paco de Lucia 以降、フラメンコが変容し続けているのを見ると、ジプシーともアンダルシアとも無縁の Xesus Pimentel もまたフラメンコの進化を担う一翼なのかもしれない。リズムより旋律を大事にしていると思われる彼の演奏を聴いていると、黒い大地にしっかりと根を下ろす広葉樹を連想する。火の出るような激しさだけがフラメンコの魅力じゃないことを示す好例と言えよう。

    アルバムレビュー

    Musica de Galicia

    '99年、ガリシア人としてのアイデンティティを前面に打ち出したデビューアルバム。主にトラディショナルやオリジナルナンバーから構成され、バグパイプやバイオリン、タブラ、ボーカルと、多様なゲストを迎えて色彩豊かなギターアルバムになっている。ガリシアの伝統音楽については全く無知だが、ここではフラメンコとの融合を試みている様子が窺える。フラメンコのアンサンブルもの=コンボ演奏のフラメンコ・フュージョン、という構図には食傷気味だった昨今だけど、そんなマイ停滞感を払拭してくれたこのアルバムはイイ!! そこここに顔を出すハチロクのポルカ風リズムはケルティック・ルーツの香り。思えばケルト音楽もフラメンコも私の大フェイバリット。こんな美味しいミックスはそうそうあるもんじゃない。リリース時にこのアルバムが話題になった記憶は無いが、多くの人に聴いてほしいなぁ。

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