外部リンク
    アコギスト宣言!!

    Marcel Powell (マルセル パウエル)

    2009年12月23日

    ブラジル 1982-3-30 〜 サンバ/ショーロ ボサノバ ガットギター フィンガーピッキング

    プロフィール

    化物じみた凄腕ギタリストが密集するブラジリアンギター界。なので、ちょっとやそっとの逸材じゃ驚かなくなっているのだが、Marcel Powell という若いギタリストに驚愕しないラテンギターファンは居ないだろう。そう、ボッサギターの神様 Baden Powell の息子なんだから。凄い血筋の割には詳しい情報があまり伝わてこないのが不思議だが、この Marcel、どうやらパリで生まれ、今でもフランスで活動しているらしい。そういえば晩年の Baden もヨーロッパ中心に活躍していたし、そんな中で離婚やら再婚とか色々あったみたいだし... と下らない推測はおいとこう。別に血統だけで騒いでいる訳じゃない。Marcel のギターで特筆すべきは、あくまでパッションを優先した鬼神の如き荒くれプレイだ。なんたって最近のブラジリアンギタリストは、上手いけどクラシックギタリストと区別が付かないくらい洗練され過ぎているきらいがあるなぁ、と思っていた昨今なので、これは嬉しい!! 兄貴の Philippe はシンガー/ピアニストになっちゃったけど、Marcel はなんでも15歳の時に父 Baden とレコーディングに初めて参加して、その時に己のギタリストとしての才能を確信したのだとか。若さゆえにのべつ幕無しにエネルギーを放ちまくっている感もあるが、それだって未完の大器を眺める楽しさだ。(どーでもいいことだが)筆者が Baden を聴き始めた頃にオギャーと産声を上げたこのサラブレット・ヴィオロニスタの真贋を、この先じっくり見極めさせてもらうじゃないか。へへっ

    アルバムレビュー

    Aperto de Mao

    それまで他アーティストのバックで才能の片鱗をのぞかせていた Marcel が、満を持して(かどうかは知らないが)'07年に放った初ソロ作。とにかく、1曲目「Aperto de Mao」からガツンと来ます。時にはオーバーダブのギター重奏で厚みをつけながら、Marcel のギターが怒涛の勢いで迫る迫る。「Preludio das Diminutas」は父 Baden との共作で、Villa Lobos へのオマージュと思われるクラシカルな前奏曲風。「Evocaçao no. 1」は Nelson Ferreira 作で、アルバムいちの暴走、いや快速チューン。面白いのは、Baden も名演を残しているナンバーにチャレンジした「Round Midnight」。黒人の血とブラジル的なサウダーヂにこだわった父の解釈を活かしながら、さらに新味を加えるような試みが興味深い。普段のライブ映像なぞ観てしまうと、いくぶん抑えたような印象もあるこのアルバムだけど、純度の高いギターアルバムを作る為にあえて即興性を薄めたのかも知れない。なんにしても、平均なぞとうに振り切れた恐ろしいデビューアルバムであることに変わりなし。

    下にあるアマゾンのアイコンをクリックすると、この CD を購入できます。

    Copyright © Mariyudu.net 2021