2004年5月29日
フランス ジプシースウィング ミュゼット スティール弦ギター フィンガーピッキング
「Manouche(マヌーシュ)」という言葉がある。フランス北西部はベルギー国境付近である、アルザス地方に住むジプシー民族を指す。彼らは大道芸等を生業としながら、移動住居型キャラバンで放浪生活を送っている。100年程前、この一団から突如として現れた天才ギタリストがかの Django Reinhardt であるが、彼の没後から50年を経た今、同じ Reinhardt の姓を持ち(血縁関係は無いとのこと)、自らのユニットで Manouche の屋号をひっさげる男こそ、Mandino Reinhardt である。
15歳の時に、Django 縁者にあたるギタリストのプレイを目の当たりにし、進むべき道を決めたという。現在は、盟友 Tchavolo Schmitt のユニットでセカンドギターを担当するかたわら、アコーディオンの Marcel Loeffler とのグループ Note Manouche でヨーロッパを中心に活躍中。来日も果たし、今後の展開が楽しみ。
'99年発表、Note Manouche のセカンドアルバム。どちらかというと男臭い感のあるホットクラブスタイルの音楽に、アコーディオンを加えてアーバンな華やかさをも備えた Note Manouche のようなユニットは、少なくとも私にとってはマヌーシュ・スウィングの最上の形だと思える。音楽的にもミュゼットやタンゴの要素がちりばめられることで、非常に楽しめるものになっている。また、このジャンルではアルバム中に Django ナンバーのカバー収録されているのが常だが、このアルバムでは10曲の殆どが自らの作であることも特筆したい。
二十歳頃に Django の音楽と出会って以来ずっと、市場に現れることが少ない、彼を継承するミュージシャン達を探しては追いかけてきた。でもやっと、21世紀を迎えた現在にきて優れた Django フォロワー達が多くの人の耳を楽しませるようになってきた。一過性のブームで終わらないよう祈りながら、乾杯。
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