2004年12月11日
日本 1960 〜 ジャズ/フュージョン ガットギター フィンガーピッキング
ガットギター1本で日本的叙情とダイナミズム溢れるジャズを紡ぎ出す、フィンガーピッカー。'01年から開催されているモリダイラ楽器主催のアコースティックギタリスト・コンペティションである「フィンガーピッキング・デイ」(日本のウィンフィールドとも言える大会で、既に多くの有望ギタリストを輩出しており今後が楽しみ)で、'02年と'03年の連続受賞を果たしている。
彼はかの宮之上貴昭の門下生だが、完璧なジャズの語法を身につけ完璧なテクニックを有しつつ、ハードコアな方向へは振れずに万人が楽しめる曲づくりとアレンジの才は、刮目すべき点だと思う。「ジャズ」という時点で何か身構えてしまうような雰囲気が日本にはあるが、アメリカ等ではカントリーやラテンのミュージシャンが、プライベートタイムには集まってジャズセッションを楽しむ習慣がある、と聞いている。素材はジャズであってもそんなリラックスできるバイブレーションを持つ、数少ない日本人ギタリストだ。
'04年、前述のフィンガーピッキングコンテストでの連続受賞を受けて発表された待望のファーストソロ作。彼のガットギターをどっしりとメインに据えて、スタンダードと自作曲がジャズトリオや打ち込み、女性ボーカルまで加えた様々なアレンジで楽しめる。やや懐かしくなってしまった(^^)ジャングルビート風の打ち込みまで含まれているあたりは、ちょっと頑張りすぎかなという気がしなくもないけど、そんな曲の中でもギターはハデなバッキングに全然負けていない。そう、全般的に音数が多く「張り切ってるなあ」という印象だのだ。オリジナルナンバー「風」や「Trinity Street」では、これでもかとインにアウトに展開される無伴奏ソロのギターワークは鬼気迫るものがある。まさに関口祐二の「動」の魅力が爆裂したアルバムだ。次は正当派ジャズトリオでシブく迫る姿なんかも期待したい。
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