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    アコギスト宣言!!

    Roy Smeck (ロイ スメック)

    2004年5月23日

    USA 1900-2-6 〜 1994-4-4 ジャズ/フュージョン ハワイアン

    プロフィール

    「世界初の映画音楽で使われた楽器は・・・、ハーモニカとウクレレだった」
    とまあトリビアではないが、この1926年のワーナーブラザースの映画「ドン・ファン」は、Vitaphone と呼ばれる装置で初の映像と音声のシンクロを実現していたらしく、音楽を担当したのが「弦楽器の魔術師」と呼ばれる Roy Smeck である。
    父親から教わった、たった三つのコードが彼の音楽人生の始まりだった。その後、彼は独学で各種ギター、バンジョー、マンドリン、ウクレレ等のあらゆる撥弦楽器(中には自家製のものも!!)をマスターし、若くして娯楽音楽の大家となる。前述のとおり映画音楽では数々のイノベーター的な役割を果たし、多くのジャズミュージシャンとの共演でたくさんのレコードも残した。後年はテナーバンジョーの奏者、インストラクターとして第一人者的な地位を築き、'94年にニューヨークで亡くなる直前まで音楽家でありつづけた。
    彼のユニークな側面は、ソル・ホーピーに影響されたと言われる、スライド奏法を用いたギター演奏で聴かれるハワイアンミュージックである。現在ではリラクゼーションの部分が強調されすぎているきらいのあるハワイ音楽だが、Smeck の演奏するそれはいずれも聴衆を突き動かすような、アップテンポで狂気すら感じさせる自由奔放なものである。当時の大衆音楽の役割は「娯楽」を提供することであった故の、その第一線で鍛えられた「芸」の凄みとでも言ったら良いだろうか。表現とか芸術とかゴタゴタぬかす前に、まず一級の芸人であることの素晴らしさ、潔さを、頭でっかちの私に突きつける。Django ReinhardtEddie Lang らと並んで、戦前ギター音楽の金字塔。

    アルバムレビュー

    Roy Smeck Plays Hawaiian Guitar

    '26〜'49年の、ハワイアン音楽演奏を編集した Yazoo からの定番的マストアイテム。彼も後年はエレクトリックスティールギターでの演奏が多いが、この時代はハワイアンギターも嬉しいことにアコースティック。電気増幅が無い音量の乏しさを補う為なのだろうか、これらのスライドギターの挑発的なフリーキーさといったら。そして数曲で聴かれるウクレレの超絶ストラミング。いずれも現代で何の問題もなく通用する神業的プレイの連続である。魔術師の名に違わず多種楽器が用いられているが、「Steel Guitar Rag」のハワイアンギター(スライド)、「Slippery Fingers」のピックギター、「Ukulele Bounce」のウクレレなど、誰彼構わず首根っこ押さえつけてでも聴かせてやりたい。いやホント、聴かずに死ぬな。
    ちなみにジャケットデザインは、自らもジャグバンドを率い、Janis Joplin のレコジャケのコミックで有名な Robert Crumb だし、それをブルース研究家兼ギタリストの Stefan Grossman が作監してる。どんな面々がこの音源の発掘に尽力したのか目に浮かぶ。ひたすら感謝したい。

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