2006年7月16日
ケニア ニューエイジ スティール弦ギター フィンガーピッキング 変則チューニング
ケニアはナイロビ出身のフィンガーピッカー。常にアフリカ民謡やアジア・インド音楽が流れている音楽一家に育ったという。長じてアーティストを志すようになるが、その頃に中東に移住した関係で彼のボーダーレスな音楽性はいっそう強まることになる。メロディにしてもリズムにしてもハッキリしたシェイプを打ち出すことなく、ある種の空気感で成立している Amrit Sond のギター音楽は、確かに非西欧的と言えなくもない。現在はイギリスに在住して、Fingerstyle Guitar Magazine 誌に寄稿などしながら活躍中。ちなみに、'04年に彼や Laurence Juber、Ed Gerhard 等の腕利きギタリストが参加した Henry Mancini トリビュートのアコギ・コンピレーション・アルバム「Pink Guitar」は、グラミー賞を贈られている。
'00年、Solid Air レーベルからのデビュー作。スティール弦ギター一挺がたゆたうようにつま弾かれる、幽玄なアコギインストアルバムである。殆どが変速チューニングで弾かれており、味付け程度だが、E-Bow(電磁波の発振で鉄弦を強制的に振動させる「電気弓」)を用いたナンバーがあるのも珍しい。いつの間にか聴き手の心を浸し、ひだの間から染み入ってくるような Amrit Sond のギター。キャッチーでもなければ「明るく楽しい」ものでもないし、ましてや「癒し」などといったおもねりとも無縁だ。朴念仁だけど気高く良質な表現のひとつであることは間違いない。
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