2006年6月25日
ブラジル 1965-3-25 〜 サンバ/ショーロ ガットギター フィンガーピッキング 女性ギタリスト
「ギター大国」ブラジルですら、インストで勝負する女性ヴィオロニスタはなかなか見かけないが、その数少ない一人がこのリオデジャネイロ出身の Marcia Taborda。クラシックギタリストの Turibio Santos と親交が深いらしく、ブラジル音楽におけるギター史の研究でも高い評価を得ている、アカデミックな逸材。
こう言っちゃ何だが、女性アーティストがエモーション全開で自己を解き放った時に、それに対抗できる男性アーティストなぞ皆無だ。ところが、Marcia Taborda のギターはクールで時にはロジカルですらある。ふたたびこう言っちゃ何だが、こういうキャラの女性アーティスト、筆者にとっては「萌え」なんである。コマーシャルベースで活動している様では無いので、そう度々のアルバムリリースは望めないかもしれないが、じっくりと熟成されたギターアルバムの発表を今後も気長に待ちたいと思う。
'05年発表のデビュー作。サンバ作曲家兼シンガー Paulinho da Viola の作品を集めたギターインストアルバム。叙情的でメロディアスな性質の楽曲を、必要以上に感情移入することなくシンプルに、しかし愛情を込めて見事にまとめ上げている。曲によっては Mauricio Carrilho のセカンドギターや Luciana Rabello (こちらも女性)のカヴァキーニョが控えめに加わっていて、聴き手を飽きさせない工夫も嬉しい。騒ぎすぎた翌日の日曜の午後、静かに、でも朗らかに過ごしたい時にCDプレイヤーのトレイに乗せたい。そんな良盤です。