2005年7月24日
USA 1908-1-1 〜 ジャズ/フュージョン ハワイアン スティール弦ギター
ハワイ・リピーターならずとも、ワイキキビーチの高層ビルに囲まれて佇むコーラルピンクの有名なホテルを御存知だろう。オープンから3/4世紀の歴史を誇る老舗、ロイヤルハワイアンホテルのことを。ハワイ好きの憧れであるこのホテルに少なからぬ縁を持つハワイアンミュージシャンが、1908年生まれの Bill Tapia だ。12歳の頃から家族とともにボードヴィル一座の興業に従事していた彼だが、19歳の時にこのホテルのオープニングセレモニーに Johnny Noble 楽団の一員として出演。以降、戦前・戦後を通して売れっ子ジャズギタリストとして忙しい日々を送っていた。共演アーティーストは、 Louis Armstrong や Billie Holiday、Fats Waller といった大御所から Elvis Presley までと、枚挙に暇が無い。近年、妻と一人娘に先立たれて悲嘆にくれていた彼だが、とある若い女性ハワイアンシンガーと出会ったことでミュージシャンに復帰しており、このストーリーがドキュメントフィルムとして公開されている。
'02年、齢90を越えてのニューアルバム!! Lyle Ritz を思わせる端正で和やかな、ウクレレジャズアルバムである。そう、彼はギタリストである以前に10歳のみぎりよりウクレレプレイヤーだったのである。さすがに手元がおぼつかないというか、危なっかしいところも多々あるが、それもアロハだと笑顔で受け止められるハワイアンミュージックの幸がいっぱい。そしてスティール弦ギターの二曲、「Body & Soul」「Paradise Isle」も同様に和みの極地。ほのぼのしすぎて眠気を催したところで、最後に収録されている若かりし頃の録音「Stars And Stripes Forever」に驚くだろう。ブラスバンドマーチで有名なこの曲は、技巧派ウクレレプレイヤーなら必ずと言ってよいほど演奏する定番ウクレレチューン。Bill Tapia のプレイは「弦楽器の魔術師」と異名を取った天才 Roy Smeck にも負けていない。
彼のホームページでスケジュールを覗くと、今なお出演予定がいっぱいだ。なんと'09年、101歳での来日も果たしてしまった。頑張れ Bill、最高齢ウクレリストのギネス認定その日まで(^^)。
下にあるアマゾンのアイコンをクリックすると、この CD を購入できます。