2004年2月22日
USA 1948-3-12 〜 フォーク ロック スティール弦ギター フィンガーピッキング
'70年代、ロック共同幻想という祭りの後に生じた空間を、漂うように現れた数多の「シンガーソングライター」達。当時、イギリスのロックを中心にポピュラー音楽に接し始めたリアル厨房の自分には、そんな彼ら達の音楽は地味で退屈だった。さらにその頃の日本の音楽シーンを跋扈してたフォーク歌手達の多くが、彼らの二流コピーだったのもイヤだった。それも今は昔。おおざっぱに「フォーク」と呼ばれたUSAシンガーソングライター達のルーツの中に、ちゃんとソウルやブルースが据えられていて、豊かな音楽的背景が感じられる歳になったオヤジの自分には... いやー、James Taylor ってイイなぁ〜(^^;)。
シンガーとしてのJTについて今更語ることは特に無いが、だれもが口を揃えていうギターの達者さについて。トリッキーな奏法がある訳でもなければ、速弾きがある訳でもない彼のギターは、ある程度ギターを弾いたことが無ければ実感できない類の素晴らしさかもしれない。唄の中にあって絶妙のツボを心得たリズム、ハーモニー、ダイナミクスのコントロールはデビュー当時('68年)から既に円熟の域にあった。そういえば誰かが「弾いた後にボディを押さえて響きの調節までしている、凄い」みたいな事を言っていたけど、いや... それは只のハウリング対策ではないだろーか...
昨今のストリートで10m間隔で見かける、弾き語りゆずっこ達もJT流ギターを勉強して、ひと味違うオトナのサウンドを目指そう、なんてね。
'74年発表の第4作。それまでシンプルだったアコギ中心のサウンドが、実力派のサイドメンの多彩な音色を得て、華やかなものになっている(特に Brecker Bros.のブラスの節度のあること!)。そんな中に置かれている2曲のアコギインスト「Instrumental I」「Instrumental II」は小品だけど、18曲の幅広いバリエーションの色彩の一つとしてアルバムを支えている。
「Someone」で、ジャズギタリストの John McLaughlin が凄い速弾きの間奏をつけていて、ちょっと浮いてるという一幕も。
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