2004年8月23日
USA クラシック ガットギター フィンガーピッキング
ギター四重奏団 Los Angels Guitar Quartet でひときわ目立つ、巨漢のギタリスト。でもその容貌とは裏腹に、彼の弾くギターは四人の中で一番優しく、繊細かもしれない。
デトロイト生まれの Scott Tennant は、12歳のときにコンサートを開く腕前だったらしい。また、'89年の東京ギターコンクールで優勝した経歴も持つ。現在では、南カリフォルニア大学で教鞭をとる一方、LAGQ のメンバーとして忙しい毎日を送っている。彼が出演・監修の教則ビデオ「Pumping Nylon」は、ハイテクニックをマスターする為のテキストとして日本でも評判である。
'98年発表の、クラシックトラッドアルバム。副題に「Celtic Music for Classical Guitar」とあるが、実際は現代の作曲家 Andrew York (LAGQの盟友)や Dusan Bogdanovic や、近代のピポーやモンポウの作品を含んでいる。だが、比較的素朴でフォーキーな味わいを持つ楽曲をアイリッシュトラッドやダウランドの作品等に交えて揃えることで、これはこれで統一感のあるアルバムになっている。
しかし、どの曲も本当に暖かくて優しい。日本じゃすっかり「癒し」のアイコンになってしまったアイリッシュトラッドだが、それらは一種の口承音楽であり、当時の殺人や痴情沙汰等の暗いトピックを題材にしたダークなものが少なくない(まるで「本当は怖い××」だな^^;)。けれど、このアルバムに収められているナンバーは、彼がインナーで「子供の頃から父母から聴かされた懐かしい曲の数々」と語っているように、アットホームなものが多い。なんと言ってもトップナンバーのアルバムタイトル曲が、イイ。2分の短い曲だけど、私のココロの琴線にびしびし触れてくるものがあり、この一曲だけで価値のあるアルバムだ。さっそく真似て爪弾いてみたけど、最初から難しくて躓いてしまった(T_T)。どうもレギュラーチューニングじゃないよーな... DADGAD ともちょっと違うようだが、はて。