2004年6月26日
日本 1951-5-25 〜 カントリー ロック ガットギター スティール弦ギター フラットピッキング
The Ventures らのエレキインストや、ナッシュビル系カントリーミュージックが好きな音楽ファンだったら、この人のことを知らない人はまずいないだろう。1951年の函館生まれということであるから、エレキブーム世代真っ只中ということになるのだろうが、Ventures や Shadows、Sputnicks が口に出すの恥ずかしかったオヤジ音楽だったのも、今は昔。エレキインストは今や一番アブナいパンクロックなんである。つくづくも「パルプ・フィクション」の功績は大きい(タランティーノ賛 ^^)。
さて、Dr.K こと徳武弘文氏のキャリアは、ブレッド&バターのサポートに始まり、幾つかのバンドに参加しながらの実力派ギタリストとして、最も多忙なスタジオミュージシャン活動や彼の作った沢山のCMソング等は皆さんご存知のとおり。現在では、エレキ・アコースティックの二形態に対応可能(?)なユニット、Dr.K Project を率いて活躍中。ヴィンテージギターのコレクターとしても有名である。
ついつい、彼のルーツである「エレキインスト」という好事家っぽいジャンルに目がいきがちになるが、彼のポジションを本質的に位置づけようと思うなら「ロックにとって最強のルーツミュージックに支えられつつ、視線は常にプログレッシヴ」ということになると思う。Beatles がそうであったように、冒険者にとっていちばん心強い武器は強靱なバックボーンである。ロックがデラシネで刹那と衝動の音楽だというのは、無い物ねだりにも似た悪しき伝説である。常に帰るべき巣を持ちながら、自然体からつくられる試みに満ちた音楽は、強くて魅力的だ。みんなとっくにそれに気づいているのである。
'01年、Dr.K Project の五作目で、前編アコースティック編成。軽やかなリズム隊に、スライドギターやバンジョー等のバッキングを得て、Dr.K のナイロン弦ギターが堪能できる。勿論、全編インスト。カントリールーツの徳武がガットギター? いやいや「不思議」でも何でもなく、ナッシュビル系カントリーギタリストは、アコギに持ち替えた時にガットギターを好む傾向が強い。Chet Atkins しかり、Jerry Reed しかり。音はコンタクトピックアップで拾われており、ピック弾きだけによけいペキパキとしたピエゾ臭が目立つのはちょっと残念だけど、そこがまた彼らしい。半数以上の曲はオリジナル作品だが、Ventures の「京都慕情」や Jerry Reed の「Swarmin'」も収録されている。後者については、インナーの解説で自ら「Jerry の足下にも及ばないが、努力だけはやる価値がある」と述べているが、とんでもない。日本最高のリックがここにある。
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