2010年5月9日
日本 1980-10-29 〜 ニューエイジ ガットギター スティール弦ギター フィンガーピッキング
岡山出身の若手アコギスト。中学生時代からギターに留まらずピアノやドラムまでこなし、バンド活動のかたわらでアコースティック・ソロギタリストを営みつつ、路上で腕を磨いてきた叩き上げだ。'05に自主制作したミニアルバム「うきわ」が好評となり、翌年にはモリダイラ楽器主催のフィンガーピッキングデイでウィナーに輝いている。さらには'07年に、かのウィンフィールド・フィンガースタイルギター・チャンピオンシップにも進出。以降は Tommy Emmanuel のオープニングアクトを務めたり、TV各局の番組テーマ曲に採用される等、まさに順風満帆。ギター演奏は小松原俊を彷彿とさせるメロディアスで情感豊かな、堂々たる正統派だ。日本で今、一番「脂の乗った」アコギストかも。
インディーズ時代のデビュー作から数えて3作目、'07年のこのアルバムからわたなべゆうの音楽は全国の販路に乗ることになる。ちなみに Leialoha はハワイ語で「愛し児」の意味らしいが、ジャケの小さな手は彼のお子さんかな? マンシーニの「Moon River」(のこぎりを弾いてるのは、「はじめにきよし」のサキタハヂメ)以外は全てオリジナル作という気合いが、彼の公私にわたる「リア充」ぶりを物語るようだ。
さて、トップナンバーの「暖炉とロッキングチェアー」はちょっと凄い。まるでボーカルナンバーをギターに編曲したかのような作品で、ほっこりしたメロディが「ギターじゃない、音楽を聴いてくれ」と訴えているようだ。この傾向はほぼアルバムを通して流れていて、タッピング等の小技を誇るような所はひとつとして無い。個人的には「Bukkoro」や「グランドライン」のような、海外のルーツミュージックの影響が見えるナンバーが好きだが、ギターという楽器に特別な思い入れのない一般音楽ファンには、それ以外のやや和風な親しみやすいメロディが乗ったナンバーの数々はおすすめだろう。そういえば、Amazon サイトでの彼のアルバムに付いたコメントには、ストリートでの演奏に触れてCDが欲しくなったというものが多い。なんてミュージシャン冥利なことだろう。わたなべゆう、幸せなギタリストである。
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