2009年3月8日
USA ブルーズ スティール弦ギター フィンガーピッキング
かれこれ四半世紀にわたって、ギタリスト Kenny Sultan の脇でブルーズハープを吹きつつ渋い喉を聴かせてきた Tom Ball は、知る人ぞ知るハーモニカ・プレイヤーの雄である。ところがこの人、相棒の Kenny に負けず劣らずの腕前をもつギタリストなのだ。いやいや、 Kenny Sultan がブルーズ一辺倒なのに対し、Tom Ball はまるで John Renbourn ばりに古楽やクラシック、トラッドからカントリーブルーズまで広く弾きこなすのだがら、「ギタリスト度」はむしろ上なのかも。彼が初めてギターを手にしたのは11歳のときだが、それは両親からプレゼントされた日本製のガットギターだったとか。そして'80年に Tom & Kenny として初レコーディング以来、今ではセッションプレイヤーとして200枚以上のアルバム・レコーディングに参加し、教則本も多く執筆する活躍ぶりだ。
'87年に、伝説的なアコースティック・ミュージック・レーベルである Kicking Mule から発表された、初ソロアルバム。ボーカリストであるにもかかわらず、このアルバムは完全ギターソロで構成されており、Tom Ball のギターへのこだわりが感じられる。トップを飾るのは、意表をついてクラシックギタリストの最高峰、Andrés Segovia が作曲した「Estudio Sin Luz」だ。そして16世紀の大作曲家 Dowland の作や、ルネッサンス期の古楽と続く。かと思うと Joseph Spence のメドレーや Marle Travis のブルーズが鯔背に奏でられ、Earl Klugh の「Mirabella」までが飛び出すという、まさに看板に偽り無しの「ギターミュージック・古今東西」なのだ。当時のモノクロだった Macintosh で描いた(MacPaint?)ようなチープなジャケットも、今となってはなかなか味わい深い。2000年以降もギターアルバムを発表し続けている Tom Ball、過去の人になっていないのが嬉しい。
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