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    アコギスト宣言!!

    Yamandu Costa (ヤマンドゥ コスタ)

    2004年8月7日

    ブラジル 1980 〜 サンバ/ショーロ ガットギター フィンガーピッキング

    プロフィール

    若干二十歳過ぎのシャイな7弦ギタリストが今、ブラジルを騒然とさせている。リオ・グランデ・ド・スール生まれの天才、Yamandu Costa である。
    七歳からギターを弾き始めた彼は、十歳を迎えるころには自由自在にインプロヴィゼイションを繰り広げるようになっていたという。2001年にはブラジルの楽器奏者の登竜門である Premio Visa で優勝を果たし、今その実力を世界に向けて示し始めている。
    これほどの実力者にしては、その生い立ちや音楽的ルーツ等の情報は少ない。Astor Piazzolla に影響を受けたという記述を見かけるが、これはショーロの楽器である7弦ギターの奏者である彼が、ショーロといういちジャンルに拘泥することなく、汎南米的な音楽視野をもってして才能を培ってきたことの表れだろう。そして強靱なピッキング、稲妻のように駆け抜けるフィンガリング等で見られる驚異的なテクニックは、夭折の天才で7弦ギターの先達である Raphael Rabello や、Rabello も晩年大きく感化されたフラメンコの鬼神 Paco de Lucia らからのインスパイアがあるのも間違いない。
    言うまでもないが、Yamandu を希有の存在にしているのはギターテクニックと同時に、心憎いばかりの歌心や瞬発力のあるインプロヴィゼイションの創造力なのである。ある意味、個性が強すぎるあまりに袋小路に追いつめられた過去の天才達の姿を思い出さないでもない。走りすぎることなく、健やかに伸びていって欲しいと老婆心のひとつも持たずに居られない。

    アルバムレビュー

    Yamandu

    '01年、MPBからのデビュー作。トップナンバーはショーロのスタンダードである Ernesto Nazareth 作の「Brejeiro」。この手垢の付いた曲を鬼気迫るギターソロにアレンジして鳥肌の立つような「新曲」に仕上げてしまった Yamandu の才気!! Raphael Rabello が、やはり自身のアルバムのトップに「ジェット機のサンバ」を持ってきて我々の度肝を抜いたことが思い起こされる。オリジナルと既製曲が半々、ギターソロとアンサンブルが半々という、聴き応えがあってかつ疲れないバランスの良い構成になっている。聴き処は8曲目の「Bahia X Gremio」、これまた凄腕のバンドリン弾きである Armandinho との火花の出そうなバトル。続く9曲目の「Cristal」も、印象的な苦みあるテーマをしなやかに弾ききっている無伴奏ギターソロで、聴き逃せない。10年に一枚の名盤かも。当然のように手放しで推薦。

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