2006年12月2日
オーストラリア 1958-12-22 〜 ジャズ/フュージョン スティール弦ギター フラットピッキング
「速弾き小僧」「スウィープの鬼」などとニックネームの列挙に暇が無い、バカテク・フュージョンギタリスト。ジャズっぽくなく速くて過激なギタープレイ故にメタルキッズの信奉者も多い。よく言われるが、彼のギターには情念の重量感が希薄で、どこか中央オーストラリア大鑽井盆地の乾いた風景と重なる。かと言って音楽性まで薄いかと言うとそうではなく、Chick Corea Elektric Band に在籍していた過去からも判るように、自身のバンドで作曲・アレンジ・プロデュースまでこなす八面六臂ぶりなのである。という訳で、聴き手によって好き嫌いの激しい、巨大な才能の持ち主 Frank Gambale なのであるが、近年のアコースティックへの接近は、雑食性アコギ好きの筆者にとってなんとも興味深い。
デビュー当初からディストーションギターを超速で弾きまくっていた Frank Gambale だが、遂に'06年、フル・アコースティック・アルバムの発表である。猫も杓子もアコギですか、なんて言うなかれ。'90年代の名作「Passages」でもアコギを手にしていた経緯もあり、以前からこういうことをやりたかったのかも。
ピアノとウッドベースを迎えてのトリオ構成で、相変わらずドライで物語性の無いテクニカルプレイの応酬だが、生楽器のせいかヨーロッパジャズのように大人びて聴こえなくもない。実際、1曲目「You Are All The Things」の出だしを聴いてジプシースウィングでも演るの? って思っちゃったし。音楽としてと言うよりは、軽く全身のツボを刺激し続けてくれるような、フィジカルな心地良さを感じる。弾き手の意図には反しているかもしれないけど、読書のBGMとかに良さそうだなぁ。
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