2008年9月14日
USA 1929 〜 1983 ハワイアン スティール弦ギター フィンガーピッキング スラックキー
Atta Isaacs は、Gabby Pahinui の傍らで助産婦のようにハワイアン・スラックキー・ギターの誕生に尽くした偉大なプレイヤーだ。'60年代後半に、ハワイアン・ミュージックの新時代を切り開いた伝説的グループ The Sons of Hawaii に在籍し、続いて'70年代前半にも Gabby Pahinui Hawaiian Band で Gabby と行動を共にしている。Atta はもともとミュージシャン一家の血筋で、それだけにメインランド(米本土のことをハワイでそう呼ぶ)の先端的な音楽スタイルをいちはやく身につけていたが、そんな彼の流麗で繊細なギターは、豪放磊落で天衣無縫な Gabby の土着性と絶妙な対象美をなしていたのだ。実力では劣らぬものを持ちながらバンドの中ではサイドメンに徹していたのは、彼がシンガーでなかったこともあるのだろうが、やはり人柄も含めて Gabby に惚れ抜いていたからなのだろう。'80年に Gabby が亡くなった後、憔悴のあまり後を追うように逝ってしまったと言われる Atta だが、彼が確立したスラックキー・ギターは Peter Moon や Cyril Pahinui らの第二世代に引き継がれ、いま大輪の花を咲かせている。
'72年に発表された Atta Isaacs 最初にして最後のソロ・アルバム。当時では珍しかった、オール・インストのスラックギター・アルバムだ。これ程の歴史的名盤が何故リイシューされないのだ、と各界からの叱責に応えて(?)世界初のCD化を実現した新星堂オーマガトキレーベルに拍手。
サイドにはベースとギターが二挺で、Atta 自身は珍しく12弦ギターを用いている。とても華やかな響きだ。この頃のハワイアン音楽は未だ、癒し願望の毒に侵されておらず、快活でスウィンギーな生命感がたまらない。それに Atta の持ち味であるジャズ風味が柔らかくブレンドされて、実に滋味豊かなのである。それに Gabby の影響を受けて編み出したと言われる、CGEGCE の通称 Atta's Tuning。この妙味を「How'd You Do」や「Mele Li'i」を聴いて堪能してもらいたい。
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