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    アコギスト宣言!!

    伊藤 ゴロー (いとう ごろー)

    2005年7月4日

    日本 ニューエイジ ボサノバ ラウンジ ガットギター フィンガーピッキング

    プロフィール

    つくづく捉えどころの無いギタリストである、伊藤ゴローというヒトは。ボサノバに触発されて音楽活動を始めたということだが、彼のギターから Joao GilbertoLuiz Bonfa を連想するリスナーは少ないだろう。閑話休題的になるが、ボサノバをトロピカルサウンドというかリゾートミュージックの一つだと捉えている人は意外に多いのだけど、それは間違いでボサノバほど優れて都市的な音楽は無いと私は思っている(同じ事がレゲエあたりにも言えるのだが)。もちろんサンバやショーロといったルーツから受け継いだダウントゥアースな要素も少なくはないが、それはロックがブルースを根っこにしているのと同義のようなものだ。束縛を嫌って放蕩の限りを尽くしたものの家(=ルーツミュージック)に戻り家業を継いで逞しく暮らしている元不良息子というよりは、今まで家族と笑顔で話していたフツーの子が突然プイと家を出たきり音信不通になってしまった、という印象がボッサにはある。回帰すべき音楽を持たない(というか断ち切られてしまった)日本人は、この手の音楽に長けているような気がするんだけど、それって幸せなんかなー... 伊藤氏はボサノバギター教室も主宰しているらしいが、どんなレッスンなのか興味津々(^^)。

    アルバムレビュー

    Wolf Song

    それまで鈴木惣一朗や宮野弘紀、青柳拓次らとのコラボで名を馳せてきた伊藤ゴローが'01年、ソロプロジェクト Moose Hill 名義での第一弾として放ったアコギインストアルバム。シンプルなフレーズが繰り返され、ある種の空気感をスピーカー周りに醸成するこの手法は、使い古された言葉だけど「環境音楽」のそれである。けれども西洋人が醸し出すそれに比べると何とも人肌的で自然調和的であることよ。その昔、初めて Penguin Cafe Orchestra を聴いた時、合理的にディストリビュートされた3分間ポップミュージックに慣れた耳には不条理で捕らえどころの無い音楽に聴こえたものだが、今聴くとそれでも「ギャハハ」と笑うべきツボが確かに用意されていたりする。しかし、この「Wolf Song」にはそれすらない。あるのは東洋人の曖昧な微笑にも似た、構築感や意味化を拒むような穏やかで均一的なバイブレーション。逆説めくけれど、この音楽は必ずしも孤独と親和性が無い。特別誰かと話したい訳ではないけれど、大勢の人間に揉まれていたいような気分の時、このCDは効きます。

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