2005年11月13日
ドイツ 1970 〜 クラシック ジャズ/フュージョン ガットギター スティール弦ギター フィンガーピッキング
中南米ものを得意とする若手クラシックギタリスト。母親がピアニストだったこともあり、早くから音楽に親しみ、主にピアノやクラリネット・サックスなどを演奏していたが、ギターで演奏されたバッハを聴いて以来ギターに転向。ザルツブルグで音楽を学び(その時の同期生には Eliot Fisk もいたそうな)、さらにニューヨークに赴き、ジュリアードの Sharon Isbin 主催マスタークラスにも参加。その地でジャズなどにも深く影響を受けつつドイツに帰国。'96年にデビュー以降は、OEHMS レーベルを根城にアルバムリリースを重ねながらソリストとして各国へのツアーも行っている。
'03年リリースの、トランペッター Markus Stockhausen との共演による即興演奏アルバム。自らを「Improvising Composer」だという Kreusch の面目躍如たる快作。トランペットとギターのアンサンブル自体が結構珍しいものだが、そこで演奏されるギターもガットギターだけでなくスティール弦あり12弦あり、さらには(ちょっとだけど)スライド奏法や多重録音までもという、クラシックギタリストに「あるまじき暴挙」の数々に拍手。深いリバーブに包まれた空間で、内省的で耽美な言葉を交わし合うギターとペットがこの上なく美しい。Ralph Towner あたりを連想させるが Towner のそれがドイツの黒い森だとすると、Kreusch のギターは抑制が良い方向に効いていて良く手入れされた庭園のような印象を受ける。4曲目のミニマルでポップな「En Route」なんかもモロ好みだなぁ。しかしこのCD、スクラッチノイズが露骨に入っていて、まるでアナログレコードからコピーした自家製音盤の如き。冒頭にはご丁寧に「Vinyl Intro」というタイトルでノイズだけのトラックが設けられているので、フェイクダメージというか何かの遊びなんだろうけど、何を意図したのか理解に苦しむナリ。
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