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    アコギスト宣言!!

    小沼 ようすけ (おぬま ようすけ)

    2007年5月6日

    日本 1974-11-24 〜 ジャズ/フュージョン ガットギター フィンガーピッキング

    プロフィール

    新進気鋭、秋田出身のジャズ・ギタリスト。最近の世代らしく、ロックにカブれていたのがジャズに転向したくちだが、その時に影響されたというギタリストの中に Grant Green の名があるのは、なんだか個人的にとても嬉しい。例えば、オールマイティで切っ先鋭い渡辺香津美が「天才」なのだとすると、小沼ようすけはその対極にいて体全体で音楽を朗々と歌い上げるタイプのギタリストなのだと思う(とはいえ決して不器用ではないので誤解無きよう)。音楽性にしても所謂黒っぽいジャズフィーリングは希薄だし、衒いもなくロック・ポップスのカバーをジャズスタンダードに織り交ぜる天然ぶりは、年期の入ったジャズファンの顔を顰めさせるかもしれない。要するに、彼が選んだのは「ジャズの歴史」ではなく、胸の内から沸き上がるグルーヴを乗せる手段としてのジャズ、ということなのだろう。次々に若芽が出ては四方八方に枝がぐんぐん伸びている状態のこの若手ギタリストが、変わり続ける様に目(耳)を奪われずにはいられない私だが、何か? (笑)

    アルバムレビュー

    3, 2 & 1

    '06年の第5作だが、疾走気味だったそれまでを立ち止まって振り返る時期に来たのだろうか。タイトルが示唆するように、ギタートリオやデュオあるいは無伴奏ソロ等のコンパクトな編成での収録を集めた私歌集的な趣だ。半数以上のナンバーがアコギで奏でられている(!)点も、そんな感触を一層強くしている。
    思えば、彼はデビュー後間もない時期にピックから指による奏法に切り替えているが、それが等身大なギターの質感が詰まったこのアルバムで凄く生きて来ている。以前にクラシックギタリストの大萩康司とジョイントライブを行っていたし、構想を十分に熟成させての結果だろう。さらに言えばアコギで使われたのは Taylor のガットエレアコ1本のみだが、そんなことも「あれこれ色んなギターを使ってファンを喜ばしてやろう」的な作りじゃないってことの証左。
    心象風景的なインプロヴィゼイションもあるが、トップナンバー「Groove Me」のようにちょっと古めのR&Bをカバーした、Tuck Andres を彷彿させるアッパーなナンバーがやはりしっくり来る。ラストは、Baden Powell の名演で名高いサンバの「Tristeza」を、臆することなく自分らしさをギュッと濃縮して明快に弾ききっている。尚、初版はスタンダードのカバーが5曲収録された Disk 2 付きの二枚組だったが、今はやや入手困難かも。

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