外部リンク
    アコギスト宣言!!

    João Rabello (ジョアン ハベーロ)

    2009年5月17日

    ブラジル 1981-12-23 〜 サンバ/ショーロ ボサノバ ガットギター フィンガーピッキング

    プロフィール

    天才ギタリストがひしめき合うブラジルから、またまた若き逸材が登場。サンバ界の貴公子と呼ばれた、偉大な作曲家・シンガー・ギタリストの Paulinho da Viola を父に持つ、'81年生まれの João Rabello だ。Rabello という名前にピンと来たアナタ、その直感は正しい。Paulinho da Viola の奥さんは、あの夭逝した伝説のギタリスト Raphael Rabello の実姉とのことで、João Rabello にとって Raphael は義理の叔父にあたる訳だ。そうでなくても、父の家系は4代続いたミュージシャンの血筋。そんな一家で生まれ育った João Rabello は、父と一緒の楽団で実戦を叩き込まれながら育ち、二十歳を迎える頃にはすっかり「出来上がっていた」らしい。'98年に Nicanor Teixeira へのトリビュートアルバム中で1曲を録音する機会を与えられたのが、プロキャリアのスタートだろうか。有り余る才気を垂れ流すことなく、それから数年の熟成を経て'06年にソロデビューアルバムを発表している。
    二世どころかもう何世なのか分からない程、名門の重みを背負ってしまっている João Rabello。常に平均を越えなければならない彼の宿命は痛切だ。そんな彼に対しては、リスナーもまた五感を研ぎすまして対峙し、一人の表現者としての価値を見定めなければならないだろう。

    アルバムレビュー

    Roendo As Unhas

    '06年発表の、記念すべきデビューアルバム。ゴリッとした手触りのガットギターががっつり詰まったフル・インスト・アルバムだ。João Rabello は、ギタリストとしては父の Paulinho da Viola よりも親戚筋である Raphael Rabello に、より感化されたようで(手ほどきも受けたらしい)、それがこのアルバムにも如実に表れている。親の七光りを払拭しようと随分苦しんだろうなぁ、と邪推したくなるほど、収められた10曲はどれも200%の全身全霊投入という感じで、却って堅苦しく感じる程だ。
    アルバムタイトルであるトップナンバー「Roendo As Unhas」は意外にも、父 Paulinho とのギターデュエット。しかし、これ以降のギターは全てソロで弾かれていることを考えると、この曲を頭に持ってきたのは何やら意味深でもある。続く2曲目は往年の大作曲家 Gnattali によるスタンダード「Dança Brasileira」で、Laurindo Almeida に捧げられている。前曲では敢えて抑えられていた彼のパワーが、ここから一気に爆発しているかのようだ。ウッドベースも加わって迫力この上ない。面白いのは6曲目、クラシックギターファンにもお馴染みの Barrios は「大聖堂」。ポピュラー畑ギタリストならではの大胆な解釈で、色彩豊かに名曲を彩っている。激情にまかせたような後半は少し荒削りなんだけど、それが彼の今後の伸びしろでもあるようで逆に嬉しくなる。ずっと硬派なギターが9曲続くが、それだけにラストの Garoto 作の「Inspiração」は何とも美しい。

    下にあるアマゾンのアイコンをクリックすると、この CD を購入できます。

    Copyright © Mariyudu.net 2021