2004年9月12日
USA 1952 〜 カントリー フォーク ロック スティール弦ギター フィンガーピッキング
ミスター・ホットリックの異名をとる、ロック世代の技巧派ギタリスト。ウッドストックで注目されたフォークグループ Mud Acers のレコードに参加してデビュー。Clarence White が考案したギター、ストリングベンダーの優れた奏者としても知られる。現在では、米ギタープレイヤー誌で長期連載を持つほどの辣腕インストラクターとして名高い。そういえば、映画「クロスロード」では、主演の Ralph Macchio にブルースギターのレッスンを行った実績も(しかしこの映画の制作裏話は、凄いプレイヤーが沢山絡んでいて本当に興味深い)。一線から退いた訳でもないだろうが、近年ではアルバムのリリースも少なく、それだけに'70年代の優れた作品ラインナップがCD化されていない状況は寂しい(Mud Acers もそうだよなー)。
'01年、Arlen Roth 7作目にして初のアコースティック・アルバム。全曲がアコギ一挺による無伴奏インスト(!)で、3曲以外は彼自身による作曲である。しかし彼には悪いが、その3曲が興味深い。Eric Clapton の「Layla」、キューバのトラッド「Guntanamera」、そして Davey Graham の「Anji」である。「Layla」は Eric 自身による「Unplagged」での演奏よりオリジナルに近いし、ラテンナンバーのスタンダード「Guntanamera」は誰もが想像する陽気なイメージを心良く裏切る優雅で夢見るようなアレンジ。「Anji」のアドリブパートはもう、彼のテクニックの独断場である。他のナンバーも今日的なギター奏法を程よく取り入れて、軽薄に走らずレトロに陥らないモダンさを獲得している。そしてどれもがルーツミュージックでガッチリと太い背骨を持ち、Arlen の年輪が味わいをいっそう豊かなものにしている。また、彼は数年前に交通事故で妻と長男を亡くしているが、「Debora's Lullaby」や「Gillian Mackenize」等幾つかの曲はその最愛の家族に捧げられている。アルバムタイトルは「うちへ帰ろう」、Arlen の深い喪失感が音楽として結実した、滋味ある一枚。
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