2006年4月1日
日本 ニューエイジ ラウンジ ロック ガットギター フィンガーピッキング
所謂「癒し系」フィールドで活躍中のアコースティックギタリスト。杏里や中西圭三ら著名アーティストのサポートを務めるいっぽう、ソロ活動として6弦ベーシスト村上聖とのデュオ「Melodica」や、面谷誠二・村瀬恭久とのハワイアンなギタートリオ「Imeha」。そしてボーカリスト矢野かおりとのユニット活動など、表現の場は多岐にわたる。彼が指向するギターサウンドを乱暴に分類するならラウンジミュージックということになる訳だが、これは最近発明されたカッコイイ言い方で(笑)、私が子供のころは「イージーリスニング」と言っていた。兎に角この手のギター音楽は、甘ったるいストリングスをバックにスタンダードナンバーを工夫もなく旋律だけを爪弾くといったような、安直な大量生産モノという印象が強かったのだが、これが近年変わってきていて、面白いフィールドになっている。榊原長紀の場合、サウンド的には目新しいところは無いけれど、ギタープレイが非常にガッチリしているという「質実剛健ラウンジ」って感じ。
'03年、リラクゼーションショップからのリリースとなる、'70年代ポップスを中心にしたガットギターによるカバー集。とにかく選曲がいい!! 10cc の「I'm Not in Love」や Paul McCartney の「My Love」、Michel Polnareff の「Tout, Tout Pour Ma Sherie」などは筆者の血肉の一部となっているくらい聴き込んだナンバーだし、'80年以降の生まれでも「Lovin' You」や「Close to You」を知らないヒトは居ないだろう。ウッドベースやドラムスが加わっている曲もあるが、基本的にギター一本で成立するアレンジで、アコギ度は高い。楽曲の力にもたれかかる程イージーでもなければ、素っ頓狂なアレンジで自己主張する訳でもない、極めて「音楽的」な良盤だ(それだけに癒し系の看板付きなのが惜しい)。是非シリーズ化して、Vol.10 くらいまでは行って欲しいものである。
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