2004年5月8日
日本 1970-12-18 〜 クラシック ガットギター フィンガーピッキング
8歳の頃からクラシックギターを学び、'94年からはヨーロッパ留学中に各地で行った演奏活動に高い評価を受け、'96年帰国。その後レコードデビューを果たし、本格的にプロ活動を開始。現代音楽家の武満徹氏作品の演奏や、渡辺香津美氏との共演等、ユニークな活動は注目に値する。
もちろん私見だが、この人はクラシックギタリストとしては変わった人だなあと思う。うまく言えないが、クラシック界の垢を身にまとっていないというか、視線がまったく別の方向を向いているというか。「私は古くさいクラシックギタリストじゃないのよ、ほら、ジャズやロックだって演っちゃうしね」というムードを持ったクラシックギタリストは、昨今掃いて捨てる程居る。鈴木氏も学生時代にはロックバンドをやっていたそうだが、そんな次元じゃなしに、彼はたとえクラシック作品を弾いていてもタイム感のようなものが全く違っていて、体臭レベルで感じる違和感のようなモノがあるのだ。とは言え何ひとつ過激なことをやっている訳でもなく、むしろ地味で慎ましやかな佇まいではあるが、それは全てのジャンルをまたいでギター演奏を愛好しているような私の耳にはとても「刺激的」だ。まだ若く、現在も試行錯誤を重ねているのかも知れない。今後も刮目して動向を見守って行きたい。
'02年、良質なクラシック作品をリリースし続ける FONTEC から。ドビュッシーやグリーグ、メンデルスゾーンなどの小品を19曲収録した、親しみやすい構成になっている。全く詳しくないのだが、この人は例えばライブでも、ソルやタレガの古典的なクラシックギター用楽曲だけでプログラムを組んだりしたことが無いんじゃなかろうか? このCDには、ギターではよく弾かれるグラナドスの作品なども入っているが、アルバムコンセプトとしては「暑苦しくないロマン派と小難しくない印象派」という感じで、ギターの体臭とも言えるスペイン風味はやや希薄である。アレンジは Segovia や Llobet のものも用いているので、特段とんがったことを企てた訳じゃないだろうが、そこがまた彼らしい。肩の力を抜いてこのCDを聴きながら、先の読みづらい彼の今後の展開をあれこれ予想してみようっと。
下にあるアマゾンのアイコンをクリックすると、この CD を購入できます。