2005年2月6日
USA 1932-12-30 〜 ブルーグラス リゾネイトギター スライド
幅広い人脈の中で、ドライブ感と歌心溢れるスライドギターで活躍してきたロック世代のドブロ弾き。実兄にマンドリニストの Dave Auldridge を持つ。12歳でギターやバンジョーを弾き始め、17歳でドブロギターにコンバートする頃には地元のラジオショーで演奏するようになっていたという。'71年には伝説のブルーグラスユニット Seldom Scene に加入、保守的だったカントリー/ブルーグラスにジャズやロックの要素を持ち込み、シーンを革新していった。こうした動きは David Grisman ら人脈のそれと通じるところがあり、'60年代ロックの熱狂が終わったあとの余波が様々な音楽ジャンルにうねりのように押し寄せていった様を見て取れる。現在でも Bob Brozman や David Grisman らの気心の知れた仲間達とマイペースな活動を続けてくれているのは嬉しい。
'74年に Takoma レーベルから発表された第1作と2作をカップリングしたCDで、聴き応えは満点。ブルーグラスの名曲は勿論だけど、「House of The Rising Sun」や「Summertime」、「Walk Don't Run」、「Killing Me Softly」といったブルーズやジャズ、ポップスのカバーまでがブレの無いスタンスで軽やかに奏でられており、とても楽しい(コアなブルーグラスファンは敬遠するのだろうか?)。そしてゲストプレイヤーの豪華で多彩なこと。David Bromberg (ギター)、Vasser Clements (フィドル)、Ricky Scaggs (マンドリン)、Rinda Ronstadt(コーラス)と、まだまだとても書ききれない。ブルーグラスというと、高い演奏性が要求される音楽ゆえにハイテクニックのショーケースみたいになってしまいがちだけど、このアルバムには音楽の楽しさが爆裂している。余談だけど、Winfield 優勝歴を持つギタリスト Steve Kaufman の「Greensleeves」は私の好きなチューンだったのだけど、このアルバムに収録されているセッションがベースになっていたことが判った。音楽の森は分け入る程に深くて、そして楽しい。
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