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    アコギスト宣言!!

    Bob Brozman (ボブ ブロズマン)

    2004年2月8日

    USA 1954-3-8 〜 エスニック ハワイアン フォーク ブルーズ スティール弦ギター リゾネイトギター フィンガーピッキング スライド 変則チューニング

    プロフィール

    ナショナルギター(スティールボディのスライドギター)といえばこの人、Bob Brozman である。膨大なギターの蒐集家であり、デルタ・ブルーズを中心にハワイ・カリブ・日本(特に沖縄)・アフリカと幅広いルーツ音楽の研究家であり、何より個性的でエネルギッシュなギタープレイヤーなのである。
    6歳にしてギターに触れ始め、ナショナルギターのユニークなサウンドに惹かれるようになり、長じてはワシントン大学で民族音楽の研究に没頭する。そして'81年のレコード録音を皮切りに、彼の怒濤のミュージシャンキャリアが始まるのである。現在までにリリースされたアルバムの枚数は30を越え、コラボレートした著名人は往年のハワイアン歌手 Tau Moe やスラックキーギタリスト Cyril Pahinui や Ledward Kaapana、ブルーグラスの大物である David Grisman や Mike Auldridge、あの Woody Mann、沖縄の平安隆とこれまた書ききれない。思えば現在の彼の演奏活動は、研究の一環のフィールドワークであり啓蒙活動なのかもしれない。尽きることのない「ギター愛」に貫かれた、一途であり貪欲な彼の生き様には、私なんぞの中途半端な愛好家は頭を垂れて立ち尽くすだけだ。ギター講師やワークショップ開催等も情熱的に行っており、その一端が YouTube あたりでザクザク見つかる。是非一度ご覧頂いて、Brozman のケダモノのようなパワーに圧倒されて欲しい(笑)。

    アルバムレビュー

    Devil's Slide

    '88年、Rounder からのソロアルバム。ジャケットに書いてあるとおり Hawaiian、Blues、Calypso、Jazz 等の古式ゆかしい芳醇な音楽達が Brozman の超絶技巧で新しい命を与えられ、輝いている。ジャケットといえば、悪魔がナショナルギター抱えて地獄の業火の中に真っ逆さま、という絵柄もカッコ良すぎ。なにやらメキシコ国境あたりのデスペラードな雰囲気がプンプンで、ロックな人たちにもアピールしそうだ(実際、Robert Johnson ナンバーも2曲入ってるし)。
    収録曲の半数弱がインストだが、かいつまんで紹介してみよう。アルバムタイトル曲の「Devil's Slide」は'29年の作者不詳なジャズナンバーらしいが、Brozman の多重録音ギターが美しく絡み合うノスタルジックなこのチューンでアルバムは幕を開ける。「Naivete」は一点の曇りもないホノルルの空のようなハワイアンマーチ。「Milenburg Joys」は忘れ去れたディキシーナンバーらしいが、疾走感あるスライドギターはまさに Brozman の独壇場。戦前ジャズの代名詞みたいな「12th Street Rag」では色んなギターが入れ替わり立ち替わり登場するが、これらは実はベース奏者のプレイで Brozman はウクレレを弾いているとのこと(Roy Smeck も顔負けのストラムだなぁ)。アルバムいち甘美な「La Rosita」、これもハワイアンナンバーらしいが、もの憂げなハバネラっぽいリズムがカリプソっぽくもある。「Text Bounce」では、Brozman もエレクトリックに持ち替え、サッチモっぽいスキャットまで披露して賑々しく迫る。
    とまあ、Brozman ワールドが比較的バランス良く一枚に纏められたお腹一杯なアルバムなのだ。超強力推薦なのだ。聴くのだ。

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