Ze Paulo Becker (ゼー パウロ ベッケル)

2004年6月21日

ブラジル サンバ/ショーロ ボサノバ ガットギター フィンガーピッキング

プロフィール

ギタリストの宝庫、ブラジルからまた若き天才の出現だ。ブラジル音楽愛好家の多い日本でもまだ知名度は高いとは言えず、情報に乏しいのが残念だが、一聴して判るそのテクニックの高さはクラシックギタリストでもかくや、と思わせられる程。現在では自己のグループ Trio Madeira Brasil を率いて活躍中。ブラジリアン・ギタリストの例にもれず、彼もまた作曲・編曲を自在にこなす才人である。最近では、ここ数年でクローズアップされてきているギタリスト Yamandu とのコラボレートを果たしていることもあり、かならず大きく注目される日が来るだろう。その時にでも改めて詳しく紹介したいと思う。

アルバムレビュー

Lendas Brasileiras

'00年発表のデビュー作。パーカッショニストの Beto Cazes がバックアップしている他はオーバーダブ無しのガットギター一本というシンプルな、まさにギタリストの為のアルバムといって良い。収録曲も、Egberto Gismonti に Djavan、Sivuca 等、そうそうたる偉大な先達たちの作品を採り上げているのがまた、ギタリストっぽい。その演奏テクニックの正確さからなのか、熱気や情熱というステロタイプなブラジリアンギターを期待すると裏切られた感じがするかも知れない。最近ではクラシックギタリストがブラジル・コンテンポラリーを採り上げることも日常茶飯事になってきた。世知辛い言い方かもしれないが、そんな中でギタリストとしての存在感をアピールして行くには、何かがまだ足りない(あるいは「余計」なのかもしれないが)ようにも思える。とまあ、あまりにも凄いアルバムなので今後の期待もつい大きくなってしまう訳か(^^)。