2006年1月22日
ブラジル ジャズ/フュージョン ボサノバ ガットギター フィンガーピッキング
長年 Caetano Veloso の片腕として、そして最近では坂本龍一のサポートメンバーとして堅実な実りを結んできたブラジリアン・ギタリスト。ギターが国民的な楽器なブラジルにあって、偉大なギタリストを挙げていくとキリが無い。Baden Powell、Egberto Gismonti、Raphael Rabello、そして最近では Yamandu Costa 等々。この Luiz Brasil は、そんなレジェンダリー・ギタリストとはまた違ったところに立ち位置を持つ、現代的な面白さを持つアーティストだ。ずっとバンドに身を置いてきただけあって、サウンドクリエーター的な資質が豊かで、今日的なサウンドの中にアコースティックギターを上手く当てはめている。アコギ好きな筆者はトラディショナルなサウンドの方に偏りがちなのだけど、今もっとも未来的なサウンドを生み出しているブラジル音楽の全体像を見失わないようにする為には、Luiz Brasil のようなギタリストが有り難い。
'05年、長い雌伏の期間を経て発表されたリーダーアルバムは、半数がオリジナルナンバーでセルフプロデュースされた、経験値豊かなまさに手だれの一枚。どの曲も濃密で熱い、だけどクール。音の隙間が皆無で緻密な点は、'70年代の Return to Forever みたいなフュージョンを連想させる。特にギタリストにアピールするように作られている印象は無いが、それでもいくつかのナンバーで美味しくアコギを堪能できる。ぶっとい2ビートの上でガットギターが益荒男にモチーフを語る「Querubim」。アルバム中最もシンプルで優雅でボッサっぽい「Menino Meu」。坂本龍一がピアノで参加しているだけあって、和音の進行が美しい「Pendulo」。朗らかでキューバっぽいリズムがトロピカルな「Noite Perpetua」。最後の隠しトラックにも短いアコギソロのおまけ付き!!