2005年9月4日
USA カントリー フォーク ブルーズ スティール弦ギター フィンガーピッキング
'86年の全米フィンガーピッキング・ギター・チャンピオン受賞歴を持つ、ミネソタ出身のフィンガーピッカー。John Fahey や Leo Kottke から大きな影響を受けたというが、彼の魅力はカントリーブルーズのエッセンスをニューエイジミュージック風のモダンなギタースタイルに昇華させた音楽性にある。そういう意味では Pat Donohue と共通する部分も多いが、Heywood の場合はさらにカントリー寄りというか、白人的要素が多いと感じる。思えば、ニューエイジミュージック全盛期には、それまで停滞気味だったギター音楽へのアンチテーゼもあってか、無国籍風の妙に飄々とした音楽が多かった。最近のルーツミュージックに対する需要の高まりは、そうした経緯への反動なのかもしれない。そんな受け止め側の事情を反映するかのように、Phil Heywood も'90年のデビュー直後は5年に一度のアルバムリリースといったマイペースな活動だったが、ここ数年は音楽性を広げながら動きが活発化してきており、今後が楽しみな存在だ。
'96年発表のセカンドアルバム。15曲中の半数近くが自作曲で、3曲ではボーカルも披露するといった意欲作。アクロバティックな奏法は一切無いオーソドックスな演奏だが、どの曲を聴いても右手のタッチが力強くて、揺るぎないリズムも素晴らしい。上手いギタリストというのは、こんなプレイヤーなんだなと再認識する。音楽的には全体的にポジティブ感に満ち溢れていて、例えばブルースギタリストでも Son House や Robert Johnson よりは、Mississippi John Hurt や Taj Mahal って感じなのだ。実際、Taj Mahal のカバーが2曲収録されているのが何とも嬉しい。個人的には、タイトルナンバーの「Local Joe」と、突出してラディカルでややコミカルでもある「Year Of The Rooster」、そして顔がほころぶ Taj Mahal のお日様ナンバー「When I Feel The Sea Beneath My Soul」がフェイバリット。
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