2004年5月15日
USA 1953 〜 ニューエイジ スティール弦ギター フィンガーピッキング
一般的な知名度は低いものの「ギタリストのギタリスト」的な、音楽性の高さと飛び抜けた演奏力ももつアコースティックギタリスト、Brian Keane。フィラデルフィアにて、クラシックの声楽家である両親の間に生まれる。そんな環境だから、早くからギターを弾き始めロックンロール等に親しんでいたが、'70年代なかばに観たマハヴィシュヌ・オーケストラのコンサートの衝撃で、本格的に音楽家としての道を歩み始めたとのこと。Larry Coryel や Paco de Lucia 等、様々なジャンルのギタリストとの共演も豊富なのは、彼が特定の音楽分野に縛られない非常に自由度の高い才能を持っており、それが各界一流の天才達を刺激するからだろう。ピアノやシンセサイザー等も自在に操る彼は現在、活動の多くを他ミュージシャンのサポートを努めたり、フィルムやTV番組の音楽を担当する等で忙しく、特に後者では「ドキュメンタリー界の John Williams (スターウォーズの方、だろう)」と呼ばれているそうである。
'85年、Flying Fish Records からの(たぶん)ソロ第一作。Flying Fish レーベルはギター音楽に積極的だけど、音楽的にはアーリー・アメリカンな素朴な印象が強かった。だけどこのアルバムは ECM のそれのような洗練された高度なギターミュージックだ。オーバーダビング無しのギターインストが9曲。さざ波のような高速アルペジオに乗せて、テーマが自在に変化しながら流れて行く、そんなテクニカルかつデリケートで美しいナンバーが多い(やや抽象的ではあるけれど)。そんな中でいきなり B.B King のようなエモーショナルなブルース「Stillpond Creek」や、J.S.Bach のカリカチュアだろうか「Going For Baroque」などがびっくり箱のように仕掛けられていて、決して飽きることは無い。繰り返し聴くほどに愛着の出てくるアルバムだと思う。Ovation のガットギターを使用しているとクレジットにあるが、全然ファイバー臭くないのも良い。
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