2004年2月8日
日本 1968-2-1 〜 ニューエイジ スティール弦ギター フィンガーピッキング 変則チューニング
本格的なインストゥルメンタル専門のアコースティックギタリストとしてメジャーデビュー以来、TV出演でお茶の間に進出したりドラマ音楽の作曲を手がける等、活動の幅を広げつつある押尾コータローは、人気だけでなく実力的にもこれまでのアコギストのイメージを大きく越えた存在である。
中川イサト氏にギターを師事し、一時ロックバンド活動に身を置きつつもその後、本格的にアコースティックギターに取り組み、インディーズシーンでギターインストCDの発表を重ねて現在に至る。奏法的には昨今の若いアコギストがそうであるように、右手タッピングやスラッピングを多用したリズム感溢れるものであるが、彼のリズム感覚は(少なくとも日本人を基準にすると)飛び抜けて力強く攻撃的であるのに驚かされる。これはバンドでベースを担当していた過去と、無関係ではないだろう。ステージを観ても、椅子に座って黙々と演奏に没頭する「ギタリスト」の姿は無い。ストラップで吊り下げた愛器グレーヴェンを振り回し掻きむしり、叩きまくって観客を挑発する姿は本当に逞しく、嬉しく感じられる。21世紀イチ押しのアコギストとして大推薦。聴くべし。
'01年に自主製作されたセカンドアルバム。彼の個性は既にこの時に確立され、13曲のギターインストゥルメンタルとして結晶し、眩しく輝いている。普通、アコースティックギタリストは自ら作曲することで独自世界を構築する方向に傾いて行くことが多いが、押尾コータローは自らのペンによる7曲に加え、懐かしいスタンダードやアニメソング等を取り上げて愛情溢れる演奏を見せる。この屈託の無さが、非常に良い形でギターマニアからの束縛を振り切っているのだろう。緩急が豊かで、曲によっては派手にエフェクト処理されたものもあり、聴き手を飽きさせない。彼が傾倒したという Michael Hedges や Tuck Andres の影響がそこここに顔出すあたりもニヤリ。
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