2006年8月27日
日本 クラシック ロック ガットギター フィンガーピッキング
クラシックとロックの間を自由闊達に行き来する、異色のクラシックギタリスト。中学生時代に Beatles に憧れてギターを弾き始め、ハードロック三昧の高校時代を経て敬愛する Ritchie Blackmore の中世音楽趣味に影響されクラシックギターに移行していった、とのこと。その後、スペインで Jose Luis Gonzalez に、ウルグアイで Abel Carlevaro と Eduardo Fernandez に師事して研鑽を深め、ボリビアでは音大のギター科主任教授まで勤め上げている。帰国後はクラシックギタープレイヤーとしての他にギター講師や、ポップ・アコースティックユニットに参加する等、エネルギッシュに活動を展開している。
最近では、根っからのクラシックギタリストでも題材をポップスに求めることは珍しくなくなっている。また「ロックでもクラシックでもギターはギター、難しく考えることはないんだよ」というような言葉もよく聞く。本当だろうか? 自分の浅薄なギター経験から言うと、より豊潤な和音で、よりレガートにと向かいがちなクラシックギターの語法に「洗脳」された者が、1度と5度だけのコードワークの中でミュートという間でビートを創造するロックギターの快感を実感するには、結構紆余曲折するのじゃないだろうか。その点、ロックのツボを知り尽くしてからクラシックにスイッチした高田元太郎の立ち位置は「常にガッツのこもったギターを弾きたい」と明快だ。クラシックギター一挺を武器に、クラシックファンをロックの泥沼に、ロックファンをクラシックの深海に放り投げてくれっ。
現代音楽家の吉松隆も絶賛のポップ・アコースティック・バンド「といぼっくす」に参加して、『アコースティックYMO』なる怪作で調子に乗った(笑)高田元太郎が、'05年に放ったガットギターでのロックカバー集。収録曲は「天国への階段」に「哀しみの恋人たち」、「クロスロード」と、ロックファンがニヤリな直球ど真ん中!! 曲名を言わなくてもロックギター好きならすぐ分かる Jimmy Page や Steve Howe、Randy Rhoads の「あの」ギターインストだってもちろん入ってる。変にこせこせしたアレンジは排して、原曲の美味しいフレーズがそのまま生きるプレイの数々が素敵だ。個人的にはそれでもまだ「凝りすぎ」で、もっとシンプルだと良かったと思ったりするが、とにかく楽しいアルバムである。次は Brian May や Eddy van Halen や Wishbone Ash なんぞに魔手(?)を伸ばして、再び楽しませて欲しいナリよ。
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